梅酢を食塩の代替とした肉用鶏飼料の利用


[要約]
梅加工の副産物である漬け汁(以下、梅酢)を無水ケイ酸に吸着させ食塩の代替として飼料に添加することで、肉用鶏の生産性が向上する。 

[キーワード]肉用鶏、梅酢、梅酢吸着飼料、食塩

[担当]群馬県畜産試験場・中小家畜係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
本県は全国第2位の梅生産県であり加工も盛んである。また、加工過程で発生する梅酢には有機酸が豊富に含まれているが、塩分が多いため利用は少ない。
  そこで梅酢に含まれる塩分を飼料に添加し食塩の代替とすることで、肉用鶏の飼料への利用を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 梅酢には有機酸が約5%、食塩が約14%含まれており(表1)、肉用鶏飼料に添加されている食塩を代替(食塩が0.36%添加されている場合、その代替として梅酢を2.6%程度添加可能)することができる。
2. 梅酢で食塩を全量代替した飼料を肉用鶏の肥育後期・仕上げ飼料として22〜49日齢まで給与する。その結果、飼料摂取量は減少するが体重は変動せず飼料要求率が低下する(表2)。
3. 梅酢を容易に飼料配合できるよう無水ケイ酸に吸着させ、梅酢を65%含む梅酢吸着飼料を調製する。
4. 梅酢の生産量と梅酢吸着飼料の添加コストを配慮し、通常規模の生産農場(4,500〜6,700羽)3農場において、梅酢吸着飼料を0.5%(梅酢として0.33%)添加し食塩の一部代替した飼料を36日齢から出荷(52〜54日齢)まで給与すると、生産性(生産指数※)が向上する(図1)。
  ※生産指数=[(体重kg×育成率)÷(飼料要求率×出荷日齢)]×100

[成果の活用面・留意点]
1. 地域性の加味や資源循環等、鶏肉のイメージアップに寄与できる。
2. 食塩の代替として使用するため、飼料工場で添加・配合する。
3. 飼料に梅酢吸着飼料0.5%を添加の費用は、500円/トンである。
4. 梅酢吸着飼料を0.5%含む飼料を出荷前2週間程度給与する鶏肉生産方法を実用化し、現在、県内で生産される肉用鶏の半数程度(350万羽前後)に活用されている。

[具体的データ]
表1 梅酢及び梅酢吸着飼料の成分
表2 梅酢で食塩を全量代替した場合の生産性
図1 梅酢吸着飼料0.5%添加した農場の成績
図2 梅酢と梅酢吸着飼料

(群馬畜試)

[その他]
研究課題名:養鶏飼料への梅酢の利用、地域性を加味した鶏卵鶏肉の生産技術の開発研究
予算区分:県単
研究期間:2005〜2006、2007〜2009年度
研究担当者:後藤美津夫

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