高タンパク質で高脂質なエコフィードを10%配合しても肥育豚の発育および肉質に影響はない
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[要約] |
高タンパク質・高脂質エコフィードの配合割合が前期10%-後期10%であれば、発育に影響はない。肉質はエコフィード給与区でオレイン酸含量が高く、リノール酸含量が低くなる。肥育全期間のエコフィード給与は前期、後期ともに10%が妥当と考えられる。 |
[キーワード]エコフィード、肥育豚、配合割合、発育、肉質 |
[担当]千葉県畜産総合研究センター・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及 |
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[背景・ねらい] |
飼料自給率の向上および飼料価格の安定化を目的として食品残さの飼料化が推進されているが、これらの食品残さには高タンパク質・高脂質の素材が多く、大量の給与は、豚に軟脂の発生などが懸念される。そこで、これらの高タンパク質・高脂質残さを飼料化した市販のエコフィードを用いて、豚の肥育全期間に利用可能かについて検討し、普及を図る。 |
[成果の内容・特徴] |
1. |
肥育期間30kgから110kgまでを前期(30〜70kg)-後期(70〜110kg)に分け、エコフィードの配合割合により10-10%区、10-20%区、20-20%区、対照区の計4区を設ける。 |
2. |
三元豚LWDを各区去勢4頭、雌5頭(10-20%区のみ去勢5頭、雌4頭)の計36頭供試し、供試飼料は当センターで配合設計に基づきエコフィードと飼料原料を配合、給与する(肥育前期:CP18.0%以上、TDN75.0%、肥育後期: CP14.5%以上、TDN75.0%)。 |
3. |
1日平均増体量は肥育全期間で対照区と比較し10-20%区、20-20%区が少なく(p<0.05)、飼料要求率においても肥育全期間で対照区と比較し10-20%区、20-20%区が劣る(p<0.05)(表1)。 |
4. |
と体成績については、ロース断面積、背脂肪等、全ての調査項目に差はみられない。 |
5. |
肉質については、エコフィードの配合割合が高くなるにつれ筋肉内脂肪含量が高くなる傾向にあり、対照区と比較し20-20%区で差がみられる(表2)。また、ロース芯肉色L*値および脂肪色のL*値は対照区と比較し10-20%区、20-20%区が高い値を示し(p<0.05)、脂肪色のa*値、b*値は対照区と比較し10-20%区、20-20%区が低い値を示す(p<0.05)(表2)。 |
6. |
内層脂肪中の脂肪酸組成は対照区と比較しエコフィード給与区でオレイン酸が高く、リノール酸が低い値を示す(p<0.05)(表3)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
高タンパク質で高脂質なエコフィードの肥育豚用飼料としての利用指針となる。 |
2. |
自家配合にするにあたり、必要なビタミン、ミネラル類の要求量が満たされているか注意する必要がある。 |
3. |
使用したエコフィードはCP18.0%、Cfat9.3%、脂肪酸組成はオレイン酸43.2%、リノール酸30.9%のものを使用(詳しくは問い合わせ)。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:低・未利用食品残さの高度利用技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:赤木友香、高橋圭二、新垣裕子、村野多可子
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