トウモロコシ乾燥蒸留かす(DDGS)の卵黄・鶏肉への着色効果
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[要約] |
トウモロコシ乾燥蒸留かす(以下、DDGS)は養鶏用飼料への配合量の増加に伴い、採卵鶏では卵黄色が濃くなり、肉用鶏では脂肪が赤味を帯びる。 |
[キーワード]DDGS、キサントフィル、卵黄色、肉色 |

[担当]群馬県畜産試験場・中小家畜係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
DDGSはバイオエタノールの併産物として生産が増加している。利用に当たり、採卵用成鶏飼料に40%配合しても生産性へ影響が無いことを確認しているが、卵黄色が濃くなる等の副次的な効果も認めている。これは製造過程で濃縮された色素のキサントフィルによるものと考えられることから、卵黄・鶏肉への着色効果や影響について明らかにしDDGSの有効活用を図る。 |
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[成果の内容・特徴] |
1. |
キサントフィルを含まない、米と大豆粕を主体とした採卵用成鶏飼料の米と大豆粕を同量ずつ代替し、DDGS(キサントフィル量:74.9mg/kg(原物中)) を10、20及び40%配合した試験飼料を調製する。 |
2. |
試験飼料を採卵鶏(ジュリア、28週齢、各10羽)に給与開始後、14及び28日後に卵黄色を調査すると、色差計による測定では、DDGSの配合割合が増加するのに伴い、b*値が上昇し黄色が濃くなり、カラーファン値も上昇する(図1)。 |
3. |
トウモロコシと大豆粕を主体にマイロを15%配合した肉用肥育後期・仕上げ飼料のトウモロコシと大豆粕を同量ずつ代替し、DDGS を12.5、25、37.5及び50%配合した試験飼料を調製し、29〜49日齢まで21日間、肉用鶏(チャンキー、各18羽〔6羽×3反復〕)に給与する。 |
4. |
DDGSの配合割合の増加に伴い、ムネ肉とささみのL*値が低下しわずかに肉色が濃くなるが、脂肪はa*値が上昇し赤味を帯びる(図2)。
なお、生産性には差は見られない。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
DDGSは採卵鶏で、キサントフィル供給源として活用できる。 |
2. |
肉色(特に脂肪の赤味)には多少の影響があるので、DDGSの使用が有利な場合でも配合量の加減や、米やマイロなどキサントフィルを含まない飼料により調整する等の配慮をする。 |
3. |
DDGSではキサントフィル等の有用な成分のほかに、カビ毒等も製造過程で濃縮されることもあり、これらがDDGSの配合割合の上限を制限するので留意する。
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:バイオエタノール蒸留かすの飼料化研究
予算区分:県単
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:後藤美津夫
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