採卵鶏飼料のトウモロコシを丸粒玄米、籾で50%代替しても産卵成績は良好


[要約]
2品種の飼料用米(籾、玄米)でトウモロコシの50%を代替して給与したところ、どちらの品種でもトウモロコシ主体の飼料と同等の産卵成績が得られる。玄米を給与することにより、糞の乾物量が減少する。

[キーワード]飼料用米、採卵鶏、籾、玄米

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
飼料用米の利用拡大を図るため、採卵鶏に食用品種の「ちば28号」および飼料専用品種の「べこあおば」を丸粒の籾および玄米の形状で給与し、産卵諸性能や卵質などに及ぼす影響を比較調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 141日齢の白玉卵産出鶏(ジュリア)260羽を用い、141日齢から448日齢まで試験を実施し、4週間を1期間として成績を取りまとめる。
2. 試験区分は飼料中のトウモロコシの50%(飼料全体の30%)を「べこあおば」の籾で代替する「べこ籾区」、「ちば28号」の籾で代替する「ちば籾区」、「べこあおば」の玄米で代替する「べこ玄米区」、「ちば28号」の玄米で代替する「ちば玄米区」、一般的な産卵鶏飼料を給与する「対照区」の5区分とする。
3. トウモロコシを飼料用米で代替した試験区では他の飼料原料の配合割合を調整することにより、一般的な成鶏用飼料と栄養水準が同レベルとなるように配合する。
4. 供試する飼料用米の粗蛋白質含量は「べこあおば」の籾で5.88%、玄米で6.54%である。「ちば28号」は籾で5.76%、玄米で6.78%であり「日本標準飼料成分表」に示される籾6.5%、玄米7.5%よりも少ない。また、玄米千粒重量は「ちば28号」の23gに対し、「べこあおば」は31gと大粒である(図1)。
5. 各試験区の50%産卵到達時の日齢は145.5から147日齢であり試験区間に差はみられない。
6. 全期間の平均産卵成績のうち、ちば籾区の産卵率は対照区に比べ低い値で推移するが有意な差はみられない。飼料摂取量は籾を配合する2つの区が対照区よりも有意に少ない値である(p<0.05)。その他の項目は試験区間に差はみられない(表1)。
7. 全期間の卵質成績のうち卵殻厚は籾を配合する2つの区が対照区よりも有意に低い値であるが(p<0.05)、卵殻強度を含む他の項目では試験区間に差はみられない(表2)。
8. 糞中の水分含量は試験区間に差はみられない。糞中の乾物量は玄米を給与した2区分が対照区に比べ低い値である(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料用米の粗蛋白質含量は飼料成分表等で示されている値と異なる可能性があるため、事前に依頼分析を行うなどして粗蛋白質含量を確認してから利用する必要がある。
2. 飼料用米の入手価格が高価な場合は付加価値販売等を検討する必要がある。

[具体的データ]

(千葉県畜産総合研究センター)

[その他]
研究課題名:採卵鶏における玄米、籾の利用
予算区分:県単
研究期間:2009〜2010年度
研究担当者:脇 雅之、村野多可子

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