離乳子豚用飼料のトウモロコシを飼料用米で代替すると、離乳子豚の消化能と下痢の発生が改善される


[要約]
離乳子豚用飼料中のトウモロコシを飼料用米で代替し、25日齢で離乳した子豚へ21日間給与すると、乾物と総エネルギーの消化率が高くなり、下痢の発生を抑制する。

[キーワード]離乳子豚、飼料用米、消化率、下痢

[担当]新潟農総研・畜産研・生産・環境科
[代表連絡先]電話:0256-46-3103
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
飼料自給率の向上や水田の有効利用を目的として、飼料用米の生産が急速に拡大している。飼料中の穀類をトウモロコシから飼料用米に一部代替した肥育豚への給与は、増体が同等であることや、枝肉中の脂肪酸組成の変化が報告されている一方で、供給価格が課題となっている。
  本試験では、飼料用米の機能性に着目し、肥育豚において嗜好性や消化性が優れるとされる飼料用米の給与が、消化器官の未熟な離乳子豚に与える影響について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 飼料中の穀類として、トウモロコシまたは飼料用米を用いた飼料(表1)を、25日齢で離乳した子豚に21日間不断給与し、増体量、飼料摂取量、飼料要求率、下痢の発生率および消化率について、40頭の子豚を用い、4頭群飼の各区5反復の試験を実施した成績である。
2. 増体量、飼料摂取量および飼料要求率は、区間に差はない(表2)。
3. 下痢の発生率は、飼料用米区が低い(P<0.01、表3)。
4. 乾物と総エネルギーの消化率は、飼料用米が高い(給与開始後1週時:P<0.01、3週時:P<0.05、図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 離乳子豚に飼料用米を給与することで、下痢の発生を抑え、損耗防止効果が期待できる。
2. 飼料用米は、「北陸193号」の玄米を粉砕処理後、1mmメッシュを通過したものを使用した結果である。
3. 「ランドレース」種の子豚を用いた結果である。

[具体的データ]
表1 飼料構成と飼料成分(分析値) 表2 増体量、飼料摂取量および飼料要求率
表3 下痢の発生率
図1 給与開始後1週時および3週時の各消化率

(新潟県農業総合研究所)

[その他]
研究課題名:豚への飼料米給与による新規栄養機能の解明及びその実用化
予算区分:実用技術
研究期間:2009〜2011年度
研究担当者:藤井 崇、大久保剛揮

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