分解特性からみた各種バイオマスおよび堆肥の利用方向


[要約]
国内で発生する主なバイオマスと各堆肥について、有機物分解特性の特徴と分解特性からみた望ましい利用方向を示した。

[キーワード]バイオマス、堆肥、分解特性、利用方向

[担当]新潟農総研・畜産研・生産・環境科
[代表連絡先]電話:0256-46-3103
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術および行政・参考

[背景・ねらい]
バイオマス(再生可能な有機性資源)や堆肥に含まれる有機物(炭素)を有効に利用するために、2010年度研究成果情報「バイオマス有効利用のための有機物分解特性の指標化」で提示した指標を用いて分解特性を評価し、分解特性からみた望ましい利用方向を示す。

[成果の内容・特徴]
1. 易分解性有機物の指標として酸性デタージェント可溶有機物(以下、AD可溶有機物:酸性デタージェント繊維以外の有機物)、難分解性有機物の指標として酸性デタージェントリグニンを用い、各バイオマスと各堆肥について有機物分解特性の特徴を示す(図1図2)。
2. 食品残さや乾燥バイオエタノール発酵残さ(DDGS)等は易分解性有機物が多く難分解性有機物が少ない。これらのバイオマスは、飼料化やメタン発酵などエネルギー変換型の利用方法に向く。土壌改良資材として利用する場合は有機物(炭素)を有効に利用できない(図1)。
3. 林業残さや果樹剪定枝等は難分解性有機物が多く易分解性有機物が少ない。これらのバイオマスは、土壌改良資材としての利用に向き、また炭素貯留機能(二酸化炭素固定)が期待される(図1)。
4. 生ごみコンポストや豚ぷん堆肥(副資材なし)等は難分解性有機物が少なく易分解性有機物が多い。これらの堆肥は、分解しやすいという特性を考慮した利用が望ましい(図2)。
5. バーク堆肥や牛ふん堆肥等は難分解性有機物が多く易分解性有機物が少ない。これらの堆肥は、土壌改良資材として優れ、また炭素貯留機能が期待される(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 行政における各バイオマスおよび各堆肥利用の基礎的資料として活用できる。
2. 本成果はあくまでも分解特性からみた利用方向であり、実際の利用にあたっては水分、飼料成分、肥料成分、安全性、発生量等の要因も考慮する必要がある。

[具体的データ]
図1 各バイオマス中AD可溶有機物(易分解性有機物の指標)と酸性デタージェントリグニン(難分解性有機物)
図2 各堆肥中AD可溶有機物(易分解性有機物の指標)と酸性デタージェントリグニン(難分解性有機物の指標)

(新潟県農業総合研究所)

[その他]
研究課題名:バイオマス有効利用のための成分評価
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:小柳 渉、村松克久、小橋有里

目次へ戻る