ペットボトル用ハサミはクリ「ぽろたん」の果皮へ簡単に切れ目が入れられる


[要約]
ペットボトルのリサイクル用ハサミは、クリ「ぽろたん」の渋皮を剥皮する際に必要な果皮への切り込みが、包丁より安全で簡単にできる。このハサミの刃先を改良した「ぽろたん」用ハサミは、切り口がきれいで、加熱すると渋皮がきれいに剥皮できる。

[キーワード]「ぽろたん」、ハサミ、渋皮剥皮、傷入れ、簡単

[担当]岐阜中山間農研・中津川支所
[代表連絡先]電話:0573-68-2036
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
渋皮が簡単に剥けるクリの新品種「ぽろたん」は、その利便性から一般家庭でのクリの消費拡大が期待されている。渋皮は加熱により剥皮できるが、その際には破裂防止のため予め果皮へ切れ目を入れなければならない。しかし、この作業は包丁を使用することが想定され、大きさが他の果物に比べ小さく、果皮が硬いクリでは過って怪我をする恐れがある。そこで、一般家庭において「ぽろたん」の果実に、包丁より安全で簡単に切れ目を入れられる道具を考案する。

[成果の内容・特徴]
1. ペットボトルのリサイクル用として市販されているハサミ(以下ペットボトル用ハサミ、H社製)を、かぎ刃を下にして持ち、「ぽろたん」果実の座(果実の下部)の端へかぎ刃をあて、刃先を果頂部にあて、果実を廻すようにして切ると、果皮(鬼皮、渋皮)へ簡単に切れ目を入れることができる(図1)。その果実をオーブントースター(1300W、5分程度)などで加熱すると、渋皮がきれいに剥皮できる(図2)。
2. 包丁を使い慣れていない人が、ペットボトル用ハサミを使うと、包丁を使うより手早く果皮へ切れ目が入れられる(表1)。
3. ペットボトル用ハサミを使って切れ目を入れる際、縦方向(座の中央から果実前後面を果頂部に向かって前後約135°の範囲)は、切る範囲が狭く作業性は良いが(表1)、刃が深く入りやすく加熱した時にやや割れやすいため、横方向(果実側面を座の中央から果頂部方向へ左右約135°の範囲)に切れ目をいれるとよい(データ省略)。
4. 刃先を薄く改良した「ぽろたん」用ハサミは、ペットボトル用ハサミに比べ切れ目を入れる際の抵抗感が少なく、切り口もきれいである(図2)。一般消費者を対象とした調査では、刃先が滑りにくく安全で、使いやすいとの評価を得ている(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「ぽろたん」用ハサミは、あまり力を入れず、渋皮に届く程度の深さで切ると、加熱した際に果肉が割れることなくきれいに剥皮できる。
2. 「ぽろたん」用ハサミは、長谷川刃物株式会社から2011年度より販売予定である。なお、ペットボトル用ハサミは、ホームセンター等で1,500円程度の価格で市販されている。

[具体的データ]

(神尾真司)

[その他]
研究課題名:大粒「クリ」の新品種を使った加工技術および病害虫果発生抑制技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:神尾真司、越川兼行、塩谷哲也、長谷川尚彦(長谷川刃物(株))

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