カキ「平核無」低樹高栽培樹の収量維持と大玉生産のための最適なせん定後1年枝数


[要約]
カキ「平核無」の低樹高で樹冠占有率の高い園地では、せん定後の1年枝を11000本/10a程度配置し、以後は慣行通りに管理することにより、樹の徒長的な生育を抑え、L規格以上果実比率60%以上、収量2000kg/10a以上を確保できる。

[キーワード]カキ、平核無、低樹高栽培、1年枝数、収量、大玉生産

[担当]新潟農総研園研セ・育種栽培科・果樹研究チーム、佐渡農業技術センター
[代表連絡先]電話:0254-27-5555
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
新潟県のカキ主力品種「平核無」は、作業軽労化のため大部分が低樹高栽培となったが、産地によって、収量を重視するか果実肥大を重視するか等の考え方は異なる。さらに、果実の需要もこれまでのM規格中心からL規格中心へ移行してきている。そこで、収量維持と大玉生産を両立できる1年枝密度を示す。

[成果の内容・特徴]
1. 産地では、出荷量の多少にかかわらず、せん定後の樹冠面積当たり1年枝密度が低くなるにつれて果実肥大が良好となり、L規格以上果実比率60%以上をめざす際の1年枝密度は、おおむね10〜11本/u以下である(図12)。
2. 多出荷量園地は、園地の樹冠占有率が100%近くで園地をくまなく利用しているのに対し、少出荷量園地は多出荷量園地より未利用部分が多く占有率が低いため、樹冠占有率が出荷量を左右する要因の1つとなる。
3. 樹冠占有率100%の低樹高栽培園でのせん定時に、1年枝を10a当り11000本程度配置し、以後は慣行通りに管理することにより、商品果収量平均2600kg/10a、最低でも2000kg/10a以上、L規格以上果実比率60%以上が確保できる(図13)。
4. 10a当り1年枝数11000本に調整した樹は、8500本や6000本の樹と比べ、徒長枝や2次伸長枝の発生が少なく、新梢伸長も短めで、樹の徒長的な生育が抑えられる(表1)。
5. 10a当り1年枝数6000本から11000本の間では、商品果率や糖度に差はない(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 間伐が終了して、最終的な永久樹植栽本数に達し、園地の樹冠占有率が100%近い成木園を対象とする。
2. 園地における枝数の調整は、1年枝数11000本を園地の10a当たり植栽本数で割り、1樹当たりの着生1年枝数目標を算出し、せん定の目安とする。
3. せん定時に残す1年枝は、当試験では長さ5〜20cmの枝が中心である。
4. せん定後の新梢や着果等の慣行管理は新潟県栽培指針に準じ、摘らいは1新梢1らい、仕上げ摘果は、結果母枝当りの葉果比15〜20を目標に行う。

[具体的データ]
図1「平核無」低樹高栽培の模式図
図2 産地における樹冠占有面積当たり1年枝密度と果実肥大との関係
図3 せん定後に残す1年枝数が収量と果実肥大に及ぼす影響 表1 せん定後に残す1年枝数が樹体生育に及ぼす影響 

(新潟県農業総合研究所)

[その他]
研究課題名:カキの低樹高栽培における大玉高収量生産に向けた収量構成基準及びほ場格付け技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:本永尚彦、堀川拓未

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