ブドウ「サニールージュ」の着粒密度低減のための第1回目ジベレリン処理時期


[要約]
ブドウ「サニールージュ」の着粒密度の低減を目的とする第1回目ジベレリン処理時期の目安は展葉7枚時頃である。なお、開花前のジベレリン処理により、成熟の促進および1粒重の増加傾向も認められる。

[キーワード]サニールージュ、花穂伸長、摘粒、ジベレリン、展葉枚数、成熟促進

[担当]石川農総研・砂丘地農試
[代表連絡先]電話:076-283-0073
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
「サニールージュ」は、年次により密着しすぎた果房となるため、摘粒に多大な労力がかかっていることが問題となっている。近年、通常は満開時に実施される第1回目ジベレリン処理を、「デラウェア」と同様、満開予定14日前頃に実施することで、花穂が伸長し、着粒密度が低減することが明らかとなっている。しかし、処理適期を判断するための実用的な目安となる生育指標は明らかとはなっていない。そこで、展葉枚数を基準として、安定した着粒密度低減効果を得るための第1回目ジベレリン処理時期の目安を作成する。

[成果の内容・特徴]
1. 第1回目のジベレリン処理時期を展葉7枚時とすることで、慣行の満開時処理と比べ花穂が伸長する。これにより、着粒密度が低減することで、摘粒作業の軽減が可能となる(図1表1)。
2. ジベレリン処理時期が展葉7枚時より早い場合は、花振るいの発生等により、必要な粒数が確保できない恐れがある。一方、展葉8枚時以降の場合は、花穂の伸長効果が認められない(図1表1)。
3. 第1回目ジベレリン処理を展葉7枚時とした場合、満開時処理と比べ、糖度の上昇および酸含量の低下が早まり、成熟が促進される(データ略)。また、1粒重も大きくなる傾向があり、商品性の高い果房を得ることができる(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 今回示したジベレリンの使用方法は、「サニールージュ」を対象として平成23年2月に農薬登録の適用が拡大された。適用内容は『第1回目処理:満開予定日14〜20日前に25ppm(ホルクロルフェニュロン3ppm加用)で花房浸漬』である。なお、第2回目処理は従来通り満開10〜15日後に25ppmで果房浸漬する。
2. 今回示した処理時期の基準は、無加温ハウス作型でのものであり、露地栽培等、他の作型では別途検討が必要である。

[具体的データ]
図1 第1回目ジベレリン(GA)処理時期の違いが花穂の伸長に及ぼす影響
表1 第1回目GA処理時期が着粒密度および摘粒数に及ぼす影響(2009、2010年) 図2 収穫時の果房(2009年)
表2 果実品質(2009、2010年)

(中村 史也)

[その他]
研究課題名:「サニールージュ」のGA開花前処理による着粒密度の低減効果の検討
予算区分:県単
研究期間:2009〜2010年度
研究担当者:中村史也、中野眞一、藤田良和

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