ジベレリンペーストと赤袋かけによるニホンナシ「幸水」の旧盆前安定出荷技術


[要約]
ジベレリンペーストの果梗部処理とその後の赤袋かけをすることによって、ニホンナシ「幸水」を安定して旧盆前に収穫し、出荷することができる。

[キーワード]ニホンナシ、幸水、ジベレリン、果実発育促進

[担当]福井農試・栽培部・園芸研究グループ
[代表連絡先]電話:0776-54-5100
[区分]関東東海北陸農業・果樹部会
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
福井県における露地の「幸水」の成熟期は平年で8月22日前後であり、ジベレリンペーストの開花後30〜40日の果梗部処理(以下「GA処理」)のみでは安定的に旧盆(8月13日)前に出荷することができない。
そこで、GA処理した後に赤袋をかける(以下「赤袋」)ことによって成熟期をさらに前進化させて安定的に旧盆前出荷を行う技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. GA処理は満開30〜40日後に30mgを果梗部に塗布する。赤袋(75×83mm)はGA処理の翌日にかける。
2. 「幸水」にGA処理後に赤袋をかけることによって13〜18日程度促進することができる(表1)。GA処理後に赤袋をかけることによって福井県では8月13日までに安定的に収穫することができる(図1図2)。
3. GA処理と赤袋によって10%程度以上の果実肥大効果がある(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. GA処理後に赤袋をかけた後の果実発育は年次間差があるので、開花期および開花後33日間の平均気温(Y = -1.24T + 147.2 Y:開花期から成熟期までの日数 T:満開後 33 日間の平均気温 杉浦[1997])によって収穫期を予測できる。
2. 作業時間はおよそGA処理が1果当たり4.2秒、赤袋が12.2秒である。資材費はGA処理、赤袋ともに1果当たり約3.9円である。GA処理と赤袋の併用による資材および労働コストは1果当たり12.5円と試算される。(労働単価を1,000円/時間とした場合。)

[具体的データ]
図1 成熟期促進処理が「幸水」の収穫時期に及ぼす影響(2009)
図2 成熟期促進処理が「幸水」の収穫時期に及ぼす影響(2010)

(坪田一良)

[その他]
研究課題名:福井ナシの旧盆前安定出荷促進技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:木下慎也、坪田一良、三輪直邦、坂川和也

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