ナシ「あきづき」の果肉障害発生と収穫時期および表面色との関係


[要約]
同一収穫日での水浸状果肉障害の発生は、表面色が進むに従い、重症果の発生割合が高くなる。「あきづき」用表面色2以下(「豊水」用表面色の4に相当)の未熟果には、水浸状果肉障害の発生がみられない。

[キーワード]あきづき、果肉障害、水浸状障害、収穫時期、表面色

[担当]茨城農総セ園研・果樹研究室
[代表連絡先]電話:0299-45-8340
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ニホンナシ「あきづき」は、(独)農研機構果樹研究所が育成し、平成13年に品種登録された外観および果実品質が優れる赤ナシである。本県では、みつ症発生などの問題がある「豊水」や「新高」の一部に替わる品種として導入が進んでいる。しかし、数年前から収穫果実の果肉に水浸状褐色小斑点を生じる果肉障害(以下、水浸状障害)が発生し問題となっている。そこで、果肉障害発生要因の解明と対策のため、茨城県で作成した「あきづき」用カラーチャート(以下、茨城版「あきづき」用表面色とする)を用いて、収穫時期および果皮色の違いと水浸状障害発生との関係を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 2009年(18年生樹)および2010年(10年生A樹、B樹)における同一の収穫日では、水浸状障害の発生果率および重症果率とも表面色が進んでいるほど増加する(表1図1図2)。
2. 茨城版「あきづき」用表面色2以下では、2009年、2010年ともいずれの収穫日でも水浸状障害が認められない(表1図1図2)。
3. 水浸状障害の発生は、いずれの年でも1回目の調査日(2009年には満開後146日、2010年には満開後144日のB樹)に認められ、重症果の発生は2009年では満開後146日から、2010年では満開後151日から認められる(表1図1図2)。
4. 2009年の茨城版「あきづき」用表面色2以下の糖度は11.5〜12%、2.5〜3では12.5〜13%、3.5以上では13.5%程度であり、表面色が進むほど高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 茨城県における「あきづき」の果肉障害では、水浸状褐色小斑点とコルク状褐色斑点の2つのタイプが認められているが、問題となっているのは前者である。
2. 供試樹の水浸状障害発生割合は、その年の「あきづき」全体の平均的な果肉障害発生を示す値ではない。
3. 表面色は、茨城版「あきづき」用表面色値(1〜5)である。表面色1は「豊水」用表面色の3に、2は4に、3は5に、4は6に、5は7に相当する。2以下は未熟果、2.5〜3は適熟果、3.5以上は過熟果である。
4. 「あきづき」の収穫は、水浸状障害が少ない表面色2.5〜3の適熟果で行う。

[具体的データ]

(清水 明)

[その他]
研究課題名:果樹推奨品種決定と生態収量予測
予算区分:県単
研究期間:2009〜2010年度
研究担当者:清水明、多比良和生

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