着色系ブドウの色素組成によるグループ分けと着色に及ぼす光の影響
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[要約] |
着色系ブドウ品種は、果皮に含まれる色素(アントシアニン)組成比によっておおむね5つのグループに分類できる。このうち、シアニジンを主要な色素とする品種群は着色に対して光の影響が大きい。 |
[キーワード]ブドウ、着色、アントシアニン、色素組成、主成分分析、紫外線 |
[担当]山梨果樹試・栽培部
[代表連絡先]電話:0553-22-1921
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]研究・参考 |
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[背景・ねらい] |
近年、山梨県においてもブドウの着色不良が問題となっている。着色不良はアントシアニンの蓄積が減少することで発生するが、これには様々な要因が関係しており、詳細は不明な点が多い。ここでは、県内で栽培されている品種を中心に、着色系ブドウを色素組成により分類し、グループごとに着色向上策を検討することを目指す。 |
[成果の内容・特徴] |
1. |
アントシアニン組成比をもとに主成分分析による分類を行うと、おおむね5つのグループに大別できる(図1)。 |
2. |
巨峰系品種の分類をみると、黒色品種はすべてマルビジンを主要色素とするグループに分類されるが、赤色品種では、品種により分類されるグループが異なり「安芸クイーン」はペオニジンとマルビジンを主要色素とするグループ、「ゴルビー」、「クイーンニーナ」はシアニジンを主要色素とするグループに分類される(図1)。 |
3. |
欧州種赤色品種の多くは、シアニジンを主要色素とするグループに分類される(図1)。 |
4. |
果房に当たる光を完全に遮断すると、マルビジンを主要色素とするグループ以外では、アントシアニン含量が半分以下になる(図2)。また、紫外線を遮断すると、シアニジンを主要色素とするグループで大きな影響が見られるが、マルビジンを主要色素とするグループではほとんど影響が見られない(図3)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
シアニジンを主要色素とする品種では、新梢管理作業や反射資材の利用などの着色管理の指導に活用できる。 |
2. |
着色向上を目指した技術開発の基礎資料として活用できる。 |
3. |
アントシアニン組成、含量の分析を行うことにより新品種の着色特性が想定できる。 |
4. |
今後、温度などのその他の要因についても各グループに及ぼす影響を調査する必要がある。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:色素組成の品種間差異の把握
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:宇土幸伸、齊藤典義、里吉友貴、三森真里子
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