輪ギク「神馬」および「神馬2号」の変温管理による燃料費削減技術


[要約]
夜間の温度管理を前夜半(18:00~24:00)/後夜半(0:00~6:00)で、栄養成長期16℃/10℃、花芽分化期20℃/14℃、花芽発達期16℃/10℃とすることで、切り花品質を低下させることなく、燃料消費量を20%程度削減できる。

[キーワード]輪ギク、省エネ、燃料費削減、変温管理

[担当]栃木農試・園芸技術部・花き研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7071
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
本県は輪ギク産地としては高緯度に位置することから、冬季の寡日射、低温による切り花品質低下の防止のため、夜間の管理温度を高めに確保することで適正な花芽分化、花芽発達を図り品質向上につなげてきた。しかし、近年の燃料費の高騰に伴い、省エネ効果が期待できる栽培技術の確立が急務となっている。そこで、品質を低下させることなく燃料消費量削減効果が高く、安定生産につながる夜間の変温管理技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 「神馬」および「神馬2号」で、温度設定と設定時間の変温処理を行う場合、収穫開始日は、「神馬」では慣行区より3〜10日、「神馬2号」では4〜11日遅れる傾向がある(図1表1)。また、収穫開始から終了までの日数は、「神馬」では慣行区が3日で、変温処理区は4〜5日であるが、「神馬2号」では慣行区が4日、変温処理区が3日で差がない(表1)。
2. 収穫時の切り花品質は、「神馬」では低夜温管理の区ほど切り花重が重くなるが、切り花長はいずれの処理区も差はなく90p以上を確保できる。「神馬2号」では、慣行区と変温処理区で差は認められない。開花時品質では、舌状花数は両品種ともに変温処理区が慣行区よりも多く、管状花数は少なくなる傾向があるが、外見上の差は認められない(表1)。
3. 燃料消費量は、変温管理3区が最も少なく、慣行区に対し20%程度の削減となる。また、「神馬2号」は低温開花性であることから、「神馬」と比較して収穫終了日が早く、燃料消費量が少なくなる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 間口5.2m×奥行き10mのガラス温室において、温風暖房機により加温を行った結果である。
2. 施設内での温度ムラは生育不揃いの原因となるため、ダクトの配置の検討や撹拌扇の利用により施設内温度の均一化を図る。
3. 厳寒期の試験で燃料を20%程度削減できたが、時期が異なる場合は削減効果は少なくなる可能性がある。

[具体的データ]
図1 変温処理の温度設定と設定時間
表1 集各自の品質調査
表2 燃料消費量

(坂本あすか)

[その他]
研究課題名:きく類の冬季安定生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2010年度
研究担当者:坂本あすか、菊地直美

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