トルコギキョウの冬季開花作型では基肥+追肥体系により施肥窒素を削減できる


[要約]
トルコギキョウの冬季開花作型では、基肥主体から基肥+生育前半(発蕾期まで)の追肥体系に切り替えることにより、季咲作型より施肥窒素量を削減しても切花長70cm程度、有効小花数4個以上の切花品質が確保できる。

[キーワード]トルコギキョウ、冬季開花、窒素吸収量、施肥窒素削減、開花障害

[担当]茨城総合セ・園研・土壌肥料研究室、花き研究室
[代表連絡先]電話:0299-45-8342
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料、関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
トルコギキョウの冬季(12〜2月)開花作型は、日照や気温の不足により促成や季咲作型と比較して切花ボリュームが小さくなるのが一般的であるにも関わらず、促成や季咲作型に準じた施肥量で基肥主体の施肥が行われており、体内窒素濃度が高く維持されることによる開花障害が問題となっている。このため施肥窒素量の削減が望ましいが、生育初期に多潅水栽培が行われていることから、基肥量の削減では窒素不足が生じる可能性がある。
  そこで、冬季開花作型に合わせた目標切花品質(切花長70cm程度、有効小花数4個以上)を確保するための施肥体系を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 全量基肥施肥体系において、施肥窒素量を0.5kg/aに減肥しても促成や季咲作型の施肥窒素量(1.5kg/a)と同等の切花品質が確保できる。ただし、初期生育の遅延により発蕾が遅れ、定植から開花までの在ほ期間が長くなる(表1)。
2. 植物体内の窒素濃度は、生育前半に高めに推移し発蕾期以降低下する(図1)。また、体内窒素濃度は施肥窒素量0.5kg/aでは、1.5kg/aよりも生育前半から低めに推移することから、0.5kg/aにおける初期生育の遅延は、窒素不足によるものと考えられる(図1)。
3. 基肥0.5kg/a+液肥による追肥0.5kg/aの減肥体系では、促成や季咲作型の施肥窒素量(1.5kg/a)と在ほ期間は同等で、生育遅延は回避され、目標とする切花品質の確保も可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は表層腐植質黒ボク土での試験結果に基づくものである。
2. 品種は「ボレロホワイト」を用いたが、品種によって施肥反応が異なる可能性がある。
3. 生育後半の窒素の過剰供給は開花障害(ブラスチング発生)を助長する(牛尾・福田.園学研9:191-196,2010)ことから、追肥は生育前半に施用する。

[具体的データ]

(内田智子、駒形智幸)

[その他]
研究課題名:「今こそチャレンジ!国産花きの周年効率安定生産システムの構築」トルコギキョウの低コスト冬季安定生産技術の確立
予算区分: 実用技術
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者: 内田智子、駒形智幸、植田稔宏、折本善之、牛尾亜由子(花き研)、福田直子(花き研)

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