イチゴ品種「越後姫」の10月出荷開始技術
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[要約] |
イチゴ品種「越後姫」は、定植前年の秋に採苗した越冬苗を利用して定植直前に12℃の低温暗黒処理を25日間行って花芽分化を促進し、8月20〜25日に定植することにより10月から出荷を開始できる。 |
[キーワード]イチゴ、「越後姫」、越冬苗、低温暗黒処理、10月出荷 |

[担当]新潟農総研・園芸研究センター、基盤研究部
[代表連絡先]電話:0254-27-5555
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及 |
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[背景・ねらい] |
「越後姫」は食味などで高い評価を得ているが、花芽分化期が遅いため現状の促成栽培における収穫開始期は1月下旬からであり、消費者が求める秋季からの生産供給に対応できない。そこで、「越後姫」の10月出荷開始作型を提示し、高単価時期の販売による収益性の向上と生産拡大を図る。 |
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[成果の内容・特徴] |
1. |
採苗は9pポットを使用して、定植前年の10月中下旬に行う。活着後の秋施肥は必要ない(図1、表1)。35穴セルトレー育苗や定植年採苗では、苗の生育や低温暗黒処理終了時の花芽分化程度も劣る(表1)。 |
2. |
採苗翌年の5月20〜27日(花芽分化促進処理の60〜67日前)にIB化成を2粒/株(約1.5g)を施肥する。 |
3. |
花芽分化促進処理として7月26〜31日から12℃で25日間の低温暗黒処理を行う。 |
4. |
定植は8月20日〜25日に行う(図1、表1)。定植前に必ず花芽分化程度(肥厚中期:分化指数3)を確認して定植する。 |
5. |
10月から1月までの糖度(Brix)は10度以上で甘く、秋季には爽やかな酸味が感じられ、収穫期間を通じて食味の良好な果実生産が可能である(図2)。 |
6. |
高単価な10〜12月に出荷できるため、1月出荷開始の慣行促成作型と比較して生産者の所得向上が図れる(表2)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
養液管理方式の高設栽培に適用する技術であり、北蒲原郡聖籠町で、最低温度8℃で管理した結果である。 |
2. |
7月中下旬に採苗を終える1月出荷開始の慣行促成作型の親株を、10月に再度利用することが可能で、採苗可能な苗数は親株1株当たり30株程度である。 |
3. |
低温暗黒処理は既存の出荷用予冷庫を利用することができる。 |
4. |
定植後10日間程度は高温対策として遮光率70%程度の寒冷紗を被覆する。その他の定植後の管理については慣行の促成栽培に準ずる。 |
5. |
当年苗の採苗時期は収穫時期と重なるため労力的な負担が大きいが、越冬苗の採苗はイチゴや稲作などの作業労力に比較的余裕がある時期に行うことが可能である。 |
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名:北陸特有の環境条件に即した野菜安定生産技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:種村竜太、増田浩吉、倉島裕、牛腸奈緒子
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