イチゴ「とちおとめ」の養液栽培における低コスト培地加温技術


[要約]
イチゴ「とちおとめ」の養液栽培では、電熱線による早朝から12時の間のみの培地加温でも慣行の終日培地加温と同等の収量が得られ、電気料金も4割程度削減できる。

[キーワード]イチゴ、養液栽培、培地加温、低コスト化

[担当]栃木農試・いちご研究所・開発研究室
[代表連絡先]電話:0282-27-2715
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
高設のイチゴ養液栽培は作業負担や効率の面で優れるがコストが高く、普及の妨げになっている。また、培地温度が低下しやすいため、栃木県の慣行栽培では電熱線や温湯管を培地内に設置し、最低温度が終日15〜18℃になるように管理していることから、さらにコストを増大させる要因になっている。そこで、培地加温の低コスト化について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 早朝から12時の間のみの加温(午前加温)では、0時から6時を除き、慣行法である終日培地加温(終日加温)と1℃低い程度の培地温度を維持できる(表1)。
2. 生育及び各花房の収穫始期、収穫果数には大きな差は無い(表2)。午前加温では終日加温と同等以上の収量が得られる(表3)。
3. 電熱線利用に係る電気料金は、午前加温により4割程度削減できる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 6時に十分な培地温度を確保するため、気温の変化に伴い加温開始時刻を調節する。
2. 本試験は電熱線を使用して栽培及び試算をしたが、温湯ボイラーで加温した場合は削減率が異なる可能性がある。
3. 暖冬の年は培地加温自体の効果が出にくい。
4. 「とちおとめ」以外での効果は不明である。

[具体的データ]
表1 厳寒期(12月〜2月)の時間帯別平均培地温度(℃)
表2 培地加温が生育及び収穫果数に及ぼす影響
表3 培地加温が収量に及ぼす影響
表4 電熱線使用に係る電気料金の試算

(小林泰弘、重野貴)

[その他]
研究課題名:イチゴの閉鎖型養液栽培における低コスト化と高品質化技術の確立
予算区分:県単
究期間:2007〜2009年度
研究担当者:重野貴、小林泰弘

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