秋冬どり業務用ネギの大型規格多収生産に適した栽培方法


[要約]
秋冬どりで業務用ネギの多収生産を行うには、「龍翔」を平床移植機で2条千鳥植え、株間5cm、畝間80cmに定植する。肥料は窒素成分で37kg/10aと多めに施用することで、2L以上の大型規格収量が6t/10a得られる。

[キーワード]業務用、ネギ、多収生産技術

[担当]埼玉農総研・園芸研究所・露地野菜担当
[代表連絡先]電話:049-285-2206
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ネギは平成10年頃から価格の安い中国産の輸入が急増し、業務用途を中心に利用されているが、残留農薬等、安全性に対する不安などから国内産への要望は根強く、安全で低価格な国産ネギが求められている。
  そこで、業務用として需要の多い2L以上の大型規格を多収生産するのに適した生産技術を開発することで、低価格な国産業務用ネギの生産を可能にする。

[成果の内容・特徴]
1. 秋冬どりで大型規格多収生産を行う場合、品種は肥大に優れ収量性の高い「龍翔」を利用する(図1)。栽培方式は、ネギの生育に適し肥大に優れる平床植え栽培法(平成18年度成果情報参照)とする。育苗は3〜4月まきの地床育苗とし、平床移植機で定植する。
2. 株間は条間3cmの2条千鳥植えで5cm(1条植え換算で株間2.5cmに相当)と密植すること、畝間は80cmと狭くすることで、収量は火山灰土壌では7,000kg/10a、沖積土壌では8,500kg/10aと慣行溝植えに比べ1〜2割増収し、2L規格以上の収量も火山灰土壌では3,800kg/10a、沖積土壌では7,500kg/10aと慣行溝植えに比べ2割程度多く得られる(図2)。軟白長は業務用に求められる30cm以上を確保できる(データ略)。
3. 収穫時期は、火山灰土壌では冬期の寒さや乾燥で株の生長が止まり、外葉の枯死により収量が減少する場合もあることから年内までとする。一方、沖積土壌では冬期でも少しずつ生長するので、収穫時期を2〜3月まで延長することで収量を増やすことが可能である(図3)。
4. 火山灰土壌での施肥量は、窒素成分で37kg/10aと、慣行(25kg/10a程度)よりも多く施肥することで、総収量は7,200kg/10a、2L規格以上の大型規格収量は6,000kg/10aと多収になる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 慣行栽培に比べてやや密植の栽培となるため、病害虫の発生に注意し、適宜防除を行う。
2. 本成果は火山灰土壌および沖積土壌で得られたものであり、その他の土壌については未検討である。

[具体的データ]
図1 品種と規格別収量 図2 土壌別の栽植方法と規格別収量
図3 土壌別の収穫時期延長と規格別収量 図4 施肥量と規格別収量

(岩崎泰史)

 
[その他]
研究課題名:業務用需要に対応した露地野菜の低コスト・安定生産技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:岩崎泰史、関口明男、鈴木栄一、富田廣

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