野生種エンバクのすき込みによる秋どりダイコンのキスジノミハムシ被害軽減


[要約]
高冷地で8月下旬播きの秋どりダイコンを栽培する場合、前作に野生種エンバク「ニューオーツ」を60日程度作付け、すき込むことで、キスジノミハムシによる根部被害を軽減でき、安定生産が図れる。

[キーワード]ダイコン、野生種エンバク、キスジノミハムシ、高冷地

[担当]山梨総農セ・高冷地野菜花き振興センター
[代表連絡先]電話:0551-20-2050
[区分]関東東海北陸農業・野菜、病害虫
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
秋どりダイコン栽培では根部を食害するキスジノミハムシの被害が著しく、農薬以外には有効な防除法がないことから、その耕種的防除対策が求められている。
 近年、野生種エンバク「ニューオーツ」のすき込みが有効であるという報告があるものの、どの作型においても有効であるとは限らないため、本県での適応性は明らかでない。
 そこで、本県高冷地の主要作型である秋どり栽培において、虫害軽減効果や収量性などを調査し、耕種的防除対策として活用できるかどうかを検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ダイコンの前作に野生種エンバク「ニューオーツ」を10a当たり15kg散播する。野生種エンバクを生育させすき込んだ後、20〜30日程度腐熟期間をとり、ダイコン播種までに2回程度耕耘して分解を促す(図1)。
2. ダイコンの8月下旬播き栽培において、前作に野生種エンバク「ニューオーツ」を作付け、すき込むことでキスジノミハムシの被害を大きく軽減できる(表1)。
3. 野生種エンバク「ニューオーツ」の作付け期間は60日程度で、これより短い場合は被害軽減効果が低下する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験で供試したダイコンの品種は「耐病総太り」である。

[具体的データ]

(石川寛人)

[その他]
研究課題名:野菜類の有機栽培技術の実証
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者: 石川寛人、對木啓介、平林正光

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