硫酸カリウムの葉面散布による夏秋トマト葉先枯れ症の効果的な抑制技術


[要約]
夏秋トマトにおいて、硫酸カリウム水溶液500〜2000倍を週2回葉面散布することで葉先枯れ症を抑制することが可能である。散布部位は植物体上端から50cm程度で良い。

[キーワード]夏秋トマト、葉先枯れ症、カリウム、葉面散布

[担当]岐阜中山間農研・中津川支所
[代表連絡先]電話:0573-68-2036
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
夏秋トマト栽培においては栽培中に葉先枯れ症の発生により灰色かび病を誘発し生産性を下げる一因となっている。岡ら(2001)は葉先枯れ症が発生した場合、葉中のカリウム含有率が低いことを明らかにしている。しかしながら、夏秋トマトの栽培現場には葉先枯れ症の効果的な抑制方法が示されていない。そこで、夏秋トマトにおける効果的な葉先枯れ症の抑制方法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 夏秋トマトに対して、収穫開始10日ほど前から8月中旬にかけて硫酸カリウム水溶液500倍を週2回葉面散布すると葉先枯れ症を抑制する(図1)。
2. 硫酸カリウム水溶液の葉面散布について、散布濃度を500倍、1000倍、2000倍で散布するといずれの濃度においても抑制効果が認められる(図2)。
3. 散布頻度を週2回、週1回、10日に1回とした場合、週に2回では抑制効果がみられるのに対して、週に1回の散布では十分な抑制効果が期待できない(図2)。
4. 散布部位を植物体の上端から50cm程度(夏秋栽培において葉先枯れ症が発生する部位)にまで制限し週2回500倍液を散布した場合、植物体全体に散布する場合と同等の抑制効果が認められる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. この試験は養液土耕栽培の「桃太郎8」において、定植後40〜44日を経過した時点からカリウムの施用量を減らして葉先枯れ症が発生しやすい条件下で実施した成果である。
2. この試験は養液栽培用に市販されている比較的純度の高い硫酸カリウムを用いた結果なので、一般の肥料として使用される硫酸加里は用いないこと。
3. 500倍を超える高濃度での使用は薬害の発生の恐れがある。
4. 農薬との混用による薬害発生については検討していない。

[具体的データ]

(熊崎晃)

[その他]
研究課題名:葉先枯れ症発生要因の解明とその対策
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:熊崎晃、川上暢喜、浅野雄二、鈴木隆志(岐阜農技セ)

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