耕うん同時畝立て局所施肥マルチ作業機による秋どりブロッコリーの減肥栽培


[要約]
秋どりブロッコリー作において、耕うん同時畝立て局所施肥マルチ作業機で速効性肥料と緩効性肥料を施用し白黒ダブルマルチすることにより、無マルチ全層施肥の慣行に比べて除草剤散布および追肥作業を省力し窒素施肥量の3〜5割削減が可能である。

[キーワード]ブロッコリー、畝立て、局所施肥、省力、白黒ダブルマルチ

[担当]中央農研・北陸水田輪作研究チーム
[代表連絡先]電話:025-526-3235
[区分]関東東海北陸農業・野菜、共通基盤・総合農業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ブロッコリー・キャベツ等の水田転換畑での野菜生産において、栽培面積の拡大、生産コストの低減および環境保全の面から、作業の省力化と化学肥料や化学合成農薬の使用量を削減する栽培法の開発が求められている。そこで、中央農業総合研究センターで開発した耕うん同時畝立て局所施肥マルチ作業機を利用して、慣行の除草剤散布と2回の追肥作業を省力し窒素施肥量を削減する技術を提示する。

[成果の内容・特徴]
1. 施肥は耕うん同時畝立て局所施肥マルチ作業機で、速効性肥料と緩効性肥料(被覆尿素)を3:1(窒素成分重量比)程度に混合して、畝上面から深さ約10cmに筋状に入れる(図1図2)。施肥量は、窒素成分のみ慣行の3割減または5割減に調整する。
2. ブロッコリーの地上部乾物重は定植22日後以降急激に増大するが、無マルチ慣行施肥(慣行区)に比べて、マルチ局所施肥(窒素3割減マルチ区および窒素5割減マルチ区)ではやや大きく推移する(図3)。
3. マルチ局所施肥でも無マルチ慣行施肥と同等かそれよりも大きい花蕾収量が得られる(表1)。収穫適期は窒素3割減で最も早く、次に窒素5割減、無マルチ全層施肥の順になる(表1)。
4. 花蕾の硝酸濃度はマルチ局所施肥では無マルチ慣行施肥に比べて低い(表1)。
5. 除草剤無散布でも白黒ダブルマルチにより雑草を抑制できる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本データは中央農業総合研究センター北陸研究センターにおいて、早生種のエダマメ作付跡の重粘土水田転換畑圃場で得られた結果である。品種は「ピクセル」(サカタのタネ)を用い、128穴セルトレイに播種し、育苗後定植した(2009:7/29播種、8/20定植、2010:7/25播種、8/10定植)。栽植様式は株間35cm、条間40cmの2条植で、畝幅は150cm、栽植本数は3.8株/m2に設定した。無マルチ慣行施肥では速効性肥料のみで慣行施肥量のN-P2O5-K2O=29.8-21-27.8kg/10aを全層施肥(ただし、NおよびK2Oのうち3.6kgは、定植21日後と着蕾期にそれぞれ追肥として畝面施用)した。マルチ資材は幅150cm、厚さ0.02mmの白黒ダブルマルチ(サマー150、みかど化工)を使用した。
2. 追肥用の被覆尿素は、原の予測式(http://konarc.naro.affrc.go.jp/padi/soil/hara/fertilizer. html)を基に、LP30とLPS60を選択した。LP30とLPS60の混合比率は1:1である。
3. 減肥程度は、前作など土壌からの窒素供給量に応じて加減する。

[具体的データ]
図1 速効性肥料と緩効性肥料の局所施肥の状況 図2 耕うん同時畝立て局所施肥マルチ展張作業の様子
図3 施肥法が地上部乾物重に及ぼす影響(2009年)
表1 施肥法が花蕾収量(2009年、2010年)、定植から収穫適期までの日数、花蕾の硝酸濃度、畝面の雑草乾物重(2009年)に及ぼす影響

(片山勝之)

[その他]
研究課題名:北陸地域における高生産性水田輪作システムの確立
中課題整理番号:211k.4
予算区分: 基盤、重点事項研究強化費
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者: 片山勝之、細川 寿、細野達夫、野村幹雄

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