ミカントゲコナジラミ(チャ系統)の寄生蜂シルベストリコバチの調査法


[要約]
黄色粘着板をチャ樹冠面下20〜30cmに設置すると、ミカントゲコナジラミ(チャ系統)の天敵シルベストリコバチが効率的に捕獲できる。粘着板を定期的に交換・調査することで、本寄生蜂のモニタリングができる。

[キーワード]ミカントゲコナジラミ(チャ系統)、寄生蜂、シルベストリコバチ、黄色粘着板、チャ

[担当]三重農研・茶業研究室
[代表連絡先]電話:0595-82-3125
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
新たなチャの侵入害虫であるミカントゲコナジラミ(チャ系統)(以下ミカントゲコナジラミ)には、有望な天敵シルベストリコバチが寄生することが知られている。しかし、茶園で本種を効率的に調査する手法は確立されていない。そこで、茶園における本寄生蜂の動態を効率的に調査法する方法を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 黄色粘着板(ITシート® ®(黄色) 10cm×10cm を貼り付けたプラスチック板)をチャ樹冠面下20〜30cmの位置に設置(チャ樹冠内トラップ)すると、ミカントゲコナジラミの天敵シルベストリコバチが多数捕獲される(図1上)。
2. チャ樹冠内トラップに捕獲されるシルベストリコバチの数は、茶摘採面に設置した吸引式粘着トラップで捕獲されるものより多い。チャ樹冠内トラップを使うと茶園におけるシルベストリコバチを効率的に調査できる(図2)。
3. チャ樹冠内トラップを定期的に交換・調査することでシルベストリコバチの発生消長が把握できる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. ミカントゲコナジラミに対して有望な寄生蜂の動態を明らかにすることで、生物的防除法に資する基礎知見が得られる。
2. ミカントゲコナジラミとクワシロカイガラムシが同時に発生している茶園では、シルベストリコバチと形態が類似するクワシロカイガラムシの寄生蜂のサルメンツヤコバチやベルレーゼコバチも捕獲されるので種の識別に留意する。
3. 黄色粘着板に捕獲されるミカントゲコナジラミを調査する場合は、樹冠面位置より10cm程度上に設置すると、効率的である(図1下)。

[具体的データ]
図1 チャ株上および内部の異なる位置に設置した黄色粘着板への捕獲数(2010年三重県亀山市) 図2 吸引粘着トラップと黄色粘着板へのシルベストリコバチ捕獲数の推移(2009年 三重県亀山市)

図3 シルベストリコバチとミカントゲコナジラミのトラップ設置位置別捕獲数の推移(2010年三重県亀山市)

(森井 均)

[その他]
研究課題名:チャの新害虫ミカントゲコナジラミの発生密度に応じた戦略的防除技術体系の確立
予算区分:実用技術
研究期間:2009〜2010年度
研究担当者:森井 均、野村茂広、松ヶ谷祐二、松田智子

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