渋皮が剥けやすいニホングリ「ぽろたん」の生産・利用技術の確立


[要約]
ぽろたんの鬼皮,渋皮を大量に剥皮するのに最も適した方法はブランチングによるものであり,一人で10kg(約350粒)を約80〜90分で剥皮することが出来る。

[キーワード]栗,ぽろたん,電子レンジ,遠赤外線,過熱水蒸気,ブランチング

[担当]茨城県工業技術センター・地場食品部門
[代表連絡先]電話:029-293-7212
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
農研機構果樹研究所で開発された和栗「ぽろたん」は和栗でありながら加熱の処理を施すことで渋皮が容易に剥けるという従来の栗には見られなかった特徴を持つ。この栗を食品加工素材として流通させていくにはある程度工業的に大量に剥皮処理できる方法が必須となってくる。そこで大量剥皮方法を確立させる。

[成果の内容・特徴]
1. 「ぽろたん」を加熱処理して剥皮するには栗の鬼皮部分に刃物等を用いて傷を付ける必要があり,その傷付け処理のモデル機を開発した。傷付け方法として栗の周囲5通りと傷の深さ2通りを調査したところ,果実の周囲270度の範囲,傷入れの深さ3.5mmで傷入れを行う方法が最も効率よく,果肉への傷も少ない剥皮を行うことが出来る。(図1
2. 遠赤外線,過熱水蒸気,電子レンジ,ブランチングの4種類の加熱処理方法のうち,ブランチングの剥皮所要時間が最も短く優れている。(図2)なお各剥皮方法で最も効率的であった。各方法の諸条件は遠赤外線250℃7分,電子レンジ1000W4分,過熱水蒸気250℃5分,ブランチング95℃3分である。
 ブランチングを駆使することにより一人の人員で10kg(約350粒)を約80〜90分で剥皮することが可能である。(図4

[成果の活用面・留意点]
1. 「ぽろたん」を工業的に効率よく剥皮出来る剥皮マニュアルとしてまとめる。県農林部と協力して,茨城県内で「ぽろたん」の栽培普及,加工普及に対して情報提供を行っていく予定である。

[具体的データ]
図1 傷入れ角度と剥皮時間
図2 剥皮方法に使用した機種
図3 各剥皮方法の剥皮所要時間
図4 ブランチングにより剥皮した「ぽろたん」

(吉浦貴紀)

[その他]
研究課題名:渋皮が剥けやすいニホングリ「ぽろたん」の生産・利用技術の確立
予算区分:受託研究(国補)
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者: 宇津野典彦、吉浦貴紀、岩佐悟

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