サトイモ大型系統丸系八つ頭の業務用調理適性の評価


[要約]
埼玉県が選抜したサトイモ大型系統「丸系八つ頭」は、子いも用種「土垂れ」(県の主品種)と比較し、ショ糖含量およびデンプン含量が高い。イモの形態が大型の丸系であるため、調理時の皮むき作業性が良く、廃棄率も低い。

[キーワード]さといも、業務用、調理適性

[担当]埼玉農総研・食品開発・流通担当
[代表連絡先]電話:048-536-0311
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
サトイモは、近年中国からの輸入量が急増し、価格が安いこと、皮むき調整してあるためすぐに利用可能なことから、業務用需要を中心に利用されている。しかし、残留農薬等安全性に対する不安などから、国内産への要望が高まっており、安全で低価格な国産サトイモが求められている。そのニーズに応えるため、埼玉県農林総合研究センター園芸研究所が選抜したサトイモ大型系統「丸系八つ頭」の品質と業務用途に向けた調理作業性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「丸系八つ頭」は、親芋の分球が少ない八つ頭の系統の一つで、大きさは1個500〜800gである(図1)。
2. 「丸系八つ頭」は、「土垂」よりショ糖含量、デンプン含量が高く(図2)、甘みがあり、ホクホクした食味である。「八つ頭」と比べるとショ糖含量、デンプン含量ともに低い。
3. 「丸系八つ頭」の調理作業性(皮むき作業)は、「皮むき重量/皮むき時間」が「土垂」の2倍以上であり、大きさではLサイズの「皮むき重量/皮むき時間」が最も高い(図4)。
4. 「丸系八つ頭」の廃棄率は「土垂」、「八つ頭」に比べて低く、大きさでは大きいほど低い(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 県内農産物直売所や市場流通における「丸系八つ頭」の有利販売に生かす。

[具体的データ]
図1 サトイモ大型系統「丸系八つ頭」
図2 サトイモの糖含量 図3 サトイモのデンプン含量
図4 サトイモの調理作業性と廃棄率

(池田順子)

[その他]
研究課題名:業務用需要に対応した露地野菜の低コスト・安定生産技術の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2008〜2009年
研究担当者:池田順子、増山富美子

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