埼玉県産パン用小麦「ハナマンテン」の栽培条件による加工適性評価


[要約]
「ハナマンテン」は早生種で収穫量も期待できる。タンパク質含有量が少ないが、前作に小松菜を栽培し追肥すると、風味と食感を生かしたパンができる。

[キーワード]コムギ、ハナマンテン、パン

[担当]埼玉農総研・食品開発・流通担当
[代表連絡先]電話:048-536-6034
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
農業者からは品質が良く収量の多いパン用小麦の要望があり、加工業者及び流通業界からも、加工適性評価の高いパン用小麦の要望が強い。そこで、前作の栽培条件ごとの加工適性を評価する。

[成果の内容・特徴]
1. 供試品種:パン用小麦「ハナマンテン」(埼玉県の平成18年度認定品種)。
播種期:2007.11、2008.11 播種量:5kg/10a(条間60cm)、9kg/10a(条間30cm)
播種方法:条播
試験区:12区(前作ら地4区、大豆4区、小松菜4区)
収穫期:2008.6、2009.6 収穫方法:手刈り取り、自然乾燥、脱穀、選別
2. 収穫した「ハナマンテン」を水分調整し2日後にテストミルで製粉した。小麦粉(A粉)のタンパク質含有量(近赤外分光法で測定)は、前作に小松菜を栽培し、追肥を行うと高い傾向である(図1)。
3. 各区から得られたA粉を用いてロールパンをストレート方法で電気オーブンを使い焼成し、焼成後1時間経過後に、「なたね法」によりロールパンの体積を測定した。体積をみても前作に小松菜を栽培し、追肥有りが高い傾向にある(図2)。
4. ロールパンと同様の配合でストレート方法により調製した山型食パンにおいて、ハナマンテンは釜のびが少なく、体積は市販パン用粉(カメリア)より22%少ない。(図3)。
5. 食味評価は「ハナマンテン」の山型食パンを焼成翌日、厚さ1cm、4〜5cm角にスライスで行った。166人(男性47人、女性119人、10歳代から70歳代まで)食味評価の結果はおいしい、普通が90%である(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. パン用小麦「ハナマンテン」の加工適性を製粉業者及び加工業者に情報提供して、県産パン用小麦の生産、消費拡大に生かしていく。

[具体的データ]
図1 前作条件とタンパク質含有量
図2 前作条件とバターロールの体積
図3 ハナマンテンと市販(カメリア)  図4山型食パンの食味評価(n=166)

(増山富美子)

[その他]
研究課題名:生産要望の高い麦類新品種の早期導入
中課題整理番号:実用技術
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年
研究担当者:増山富美子、池田順子

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