「こしのめんじまん」を使用した米粉麺の製造法


[要約]
水浸漬後、澱粉損傷度1〜7%となるように気流粉砕した「こしのめんじまん」の米粉を、水分42〜45%かつ酸溶解度45〜50%となるように加熱した後、押し出し式製麺を行うことで、コシが強く茹でのびしにくい米粉麺を製造することができる。

[キーワード]「こしのめんじまん」、米粉、米粉麺

[担当]新潟農総研・食研セ・穀類食品科
[代表連絡先]電話:0256-52-3238
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
新潟県では平成20年度より小麦粉使用量の10%以上を米粉に置き換える「R10プロジェクト」を提唱し、米粉の消費拡大を推進している。しかし、めん類への利用は、茹でのびしやすくなる等の変化が起き易く、品質面での劣化の大きいことが問題となっている。
 そこで、県作物研究センターで育成した高アミロース米品種「こしのめんじまん」を使用し、グルテンなどのつなぎを使用しない高品質の米粉麺の製造法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 水浸漬した「こしのめんじまん」精白米を気流粉砕した米粉に対して、蒸気加熱等を行い、直ちに押し出し式製麺機で製麺することにより、品質の優れた米粉麺を製造することができる(図1)。
2. 「こしのめんじまん」で製造した米粉麺は「コシヒカリ」で製造したものと比較して、茹で調理後の伸長抵抗、破断強度ともに高い値を維持する(図2)。
3. 澱粉損傷度1〜7%となるように調製した「こしのめんじまん」の米粉を使用することにより、茹で直後の破断強度が高い米粉麺を製造することができる(表1)。
4. 押し出し時の生地水分が低すぎると麺線とならず、高すぎると麺線同士が付着することが認められたところから、麺の水分42〜45%、酸溶解度45〜50%となるような加熱条件が適している(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術を利用する場合は、新潟県の許諾が必要となる(特許第4528994号)。
2. 米粉の澱粉損傷度や糊化度は、有坂らの方法を参考に酸溶解度法で測定した値である。有坂ら(1994)応用糖質、41(1):1-7

[具体的データ]

(新潟県農業総合研究所)

[その他]
研究課題名:新形質米の機能性を活かした新食品の開発
予算区分:公募(高度化)
研究期間:2005〜2007年度
研究担当者:本間紀之、赤石隆一郎、野呂渉、吉井洋一
発表論文等: 1)吉井ら(2008)農林水産技術研究ジャーナル31(7), 22-27
2)中村ら「米麺及びその製造方法米麺及びその製造方法」特許第4528994号

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