小麦「ゆめかおり」の認定品種採用


[要約]
「ゆめかおり」は、製パン適性が優れる硬質小麦である。また、コムギ縞萎縮病抵抗性を有し、「農林61号」と比較して耐倒伏性が強いなど栽培適性が優れるため、主に地産地消向けのパン用小麦として認定品種に採用する。

[キーワード]小麦、パン用、ゆめかおり、コムギ縞萎縮病抵抗性、製パン適性

[担当]茨城農総セ農研・作物研、水田利用研
[代表連絡先]電話:029-239-7212
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
地元産の小麦粉を用いたパンを作りたいという一定の要望があるが、本県にはこれまでパン用硬質小麦の奨励品種は無かった。そこで、製パン適性及び耐倒伏性、耐病性等の栽培特性が優れた品種を選定し、地産地消の推進を図る。

[成果の内容・特徴]
「ゆめかおり」は長野県農事試験場(現:長野県農業試験場)において、早生、良質、硬質、高製パン適性を育種目標に、平成8年度に「西海180号(ニシノカオリ)」を母、「KS831957」を父として交配された。
1. 「農林61号」と比較して以下のような特徴がある。
(1)成熟期は3日程度早い早生系統である(表1)。
(2)稈長がやや長いが、耐倒伏性は優れる(表1)。
(3)穂長は短いが、穂数が多く、収量は同等である(表1)。
(4)千粒重は重く大粒、容積重も重い。蛋白質含量は1〜2%程度高い(表1)。
2. コムギ縞萎縮病に強い(育成地によるシラネコムギとの比較、データ略)。
3. 製パン適性は1CWと比較してやや劣るが差は小さい(表2図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 当面は主に地産地消用途向けとして、県内全域の主に黒ボク土畑地圃場を対象として普及を図る。
2. 高い製パン適性を確保するために、蛋白質含量の向上に努める。蛋白質含量の向上のためには黒ボク土圃場で作付し、地力に応じて出穂期〜出穂期15日後頃に窒素量で0.2〜0.4kg/aの追肥を行う。
3. 「農林61号」より耐倒伏性が優れるが、極端な多肥では倒伏の可能性があるので、地力や生育に応じて基肥量、追肥量を調節する。

[具体的データ]

(茨城農総セ農研)

[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2005〜2010年
研究担当者:大越三登志、遠藤千尋、寺門ゆかり、鈴木正明、飯田幸彦、横須賀知之、樫村英一

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