そば粉の粗タンパク質含量と生地玉特性との関係


[要約]
そばを製麺加工する際の水回し工程において、そば粉の粗タンパク質含量が高いほど、生地がまとまりやすく、生地を早くまとめるのに必要な加水量が少なくなる。さらに、出来上がった生地を一定の厚さまで延す際のかたさ荷重は小さくなる。

[キーワード]そば、常陸秋そば、そば粉、粗タンパク質含量、生地玉

[担当]茨城県農業総合センター農業研究所・作物研究室
[代表連絡先]電話:029-239-7212
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]]研究・参考

[背景・ねらい]
茨城県産「常陸秋そば」は大粒で風味が良く、実需者から高い評価を得ているが、産地によって品質評価にばらつきが見られる。そのため、生産現場から、品質評価のための目標値の設定が求められている。
  本試験では、そばの品質評価手法を確立するため、そば粉の成分(粗タンパク質含量等)とそば製麺時の生地玉特性との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. そば粉の粗タンパク質含量とそば用ニーダーによる生地玉形成時間との間には、有意な負の相関が認められ、そば粉の粗タンパク質含量が高いほど、生地が早くまとまる(図1)。
2. そば粉の粗タンパク質含量が高いものは、低いものに比べ、少ない加水量で生地玉を形成できる(図3)。
3. 生地玉を一定の厚さまで延す際のかたさ荷重は、そば粉の粗タンパク質含量が高いほど、小さくなる。(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. そば粉の品質を評価するための基礎データとして活用する。
2. 本試験では、茨城県そば奨励品種「常陸秋そば」を用いた。そば粉は、脱皮した抜き実から作成した全粒粉100%である。つなぎ粉としての小麦粉は使用していない。
3. 本試験では、そば製麺時における水回し工程(撹拌および混捏)について客観的に評価を行うためにそば用ニーダーを使用し、生地玉が形成されるまでの時間を生地のまとまりやすさの指標とした。

[具体的データ]
図1 水回し工程の機能を有するそば用ニーダーによるそば生地玉形成過程
図2 そば粉の粗タンパク質含量と生地玉形成時間との関係
図3 そば粉の粗タンパク質含量および加水量の違いと生地玉形成時間との関係 図4 そば粉の粗タンパク質含量とそば生地を上から押した時のかたさ荷重との関係

(茨城県農総セ農研)

[その他]
研究課題名:「常陸秋そば」の品質評価手法の確立と品質制御技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:松浦和哉、飯田幸彦

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