在来種「大浜大豆」からの優良系統選抜


[要約]
能登地域で栽培されてきた「大浜大豆」の種子を収集した20系統から、草姿や子実の外観品質および豆腐の食味等が良好な2系統を選抜した。

[キーワード]ダイズ、大浜大豆、在来、系統選抜、豆腐

[担当]石川農研・育種栽培部・育種グループ
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
「大浜大豆」は、石川県珠洲市を中心とした能登地域で栽培されてきた在来種である。近年、現地で豆腐の食味が優れていると評価されたことから、特産化の動きがある。
  しかし、これまで各農家の自家採種によって保存されてきた結果、「大浜大豆」と呼ばれているものの、花色や種皮色、臍色等の特性が互いに異なる系統が存在する。
  そこで、現地で「大浜大豆」として栽培されてきた系統の中から、栽培が容易で、豆腐の食味が良好な系統を選抜し、その純系を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 選抜した2系統「9-1-1」および「1-1-8」は、現地で収集した20系統の中から、主茎が太く、子実の外観品質、粒揃い、粒大および豆腐の食味等が良好な系統として、それぞれ選抜した純系である。両系統とも、「エンレイ」と比べて大粒率が大きい(表1表2)。
2. 「9-1-1」について、草姿は直立、成熟期は11月上旬である。また、胚軸は紫色、毛茸は褐色、花は紫色、種皮は淡黄色、臍は褐色である(図1表1)。
3. 「1-1-8」について、草姿はやや蔓化する場合がある。成熟期は11月中旬である。また、胚軸は緑色、毛茸は白色、花は白色、種皮は淡黄色、臍は淡褐色である(図1表1)。
4. 豆腐の食味官能評価の結果、「9-1-1」と「1-1-8」は、食味が好評であったことから、豆腐用として優良な系統である(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 2011年度に現地で採種圃場を設置し、2012年度以降普及に移る予定である。
2. 「大浜大豆」は2007年に商標登録されている。

[具体的データ]
図1 子実(左「9-1-1」、右「1-1-8」)

(石川県農業総合研究センター)

[その他]
研究課題名:園芸作物品種育成研究
予算区分: 県単
研究期間:2006〜2010年度
研究担当者: 廣田実央、吉秋斎、野村央文、橋本良一

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