ダイズは葉焼病に罹病すると小粒化し減収する


[要約]
ダイズの開花期における葉焼病の発病葉率が高いほど子実重は減少し、小粒の割合が高く なる。開花期の発病葉率が高いと、9月下旬の発病葉率はさらに高くなる。

[キーワード]ダイズ葉焼病、減収、小粒比率

[担当]福井農試・生産環境部・病理昆虫研究グループ
[代表連絡先]電話:0776-54-5100 
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
福井県では、ダイズ栽培において葉焼病が増加傾向にあり問題となっている。しかし、本病の発生生態や防除に関する知見は少なく、被害解析や要防除水準の策定も行われていない。そこでまず、本病の発生量と収量・品質との関係を明らかにし、本病によるダイズ被害を抑制するための基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
1. ダイズの開花期において、葉焼病の発病葉率が高いほど、粒径が5.5mm以上の子実重の割合が少なくなり、減収する(図1)。
2. ダイズの開花期において、本病の発病葉率が高いほど、小粒(粒径が5.5〜7.3mm)の子実の割合が高くなる(図2)。
3. 開花期における発病葉率が高いほど、9月下旬の発病葉率はさらに高くなる(図3)。特に、開花期の発病葉率が10%を超えると、9月下旬には多発生から甚発生となる。
4. 開花期にジメトモルフ・銅水和剤を散布すると、無散布区と比べて9月下旬の発病葉率は低くなり、子実重は高くなる(表1)。散布区での粒径分布は、大粒(7.9mm以上)の割合が高く、中粒(7.3〜7.9mm)と小粒の割合が低くなる。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験は、品種「エンレイ」を6月上旬に播種して行った。粒径の調査基準は、農産物規格規定に従って行った。
2. ジメトモルフ・銅水和剤は、葉焼病には農薬登録はない(平成23年1月20日現在)。

[具体的データ]
図1 開花期における発病葉率と子実重比の関係 図2 開花期における発病葉率と小粒比率の関係 
図3 開花期の発病葉率と9月下旬の発病葉率との関係
表1 開花期における薬剤散布が9月下旬の発病と収量に及ぼす影響

(渡辺貴弘)

[その他]
研究課題名:ダイズ葉焼病の診断技術と被害防止技術の確立
予算区分:地域科学技術振興事業
研究期間:2008〜2010年度
研究担当者:渡辺貴弘

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