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機能性成分

 食品の三次機能としての生体調節機能に関与する食品成分を機能性成分といいます。ポリフ ェノールやカロテノイド、イソチオシアネートなどの植物二次代謝成分は、様々な生体調節機能 を示すことから代表的な機能性成分です。この他、タンパク質やペプチド、アミノ酸等のタンパ ク質関連化合物、多糖類やオリゴ糖、単糖などの糖質、複合脂質や高度不飽和脂肪酸等の中 で生体調節機能を示す成分も機能性成分です。

ポリフェノール

 ベンゼン環に水酸基が結合した化合物をフェノールといいますが、その水酸基が一つのベン ゼン環に二個以上結合した化合物をポリフェノールといいます。フェノール構造を持つ化合物は、 全て抗酸化性を示しますが、二個以上の水酸基が隣り合って結合した構造を持つポリフェノール は特にその作用が強く、機能性成分として注目されています。  ポリフェノールの仲間には、フラボノイド、リグナン、スチルベノイド(スチルベン)、タンニン、フ ェニルプロパノイド、単純フェノール類等多様なグループが存在します。これらのグループはさら に細分化し複雑な分類になっていますので以下を参照下さい。

 リストタンニンの種類と分布

 リストフラボノイドの種類と分布
  カルコンとオーロン
  フラバノンとフラバノノール
  フラボン
  フラボノール
  カテキン
  プロアントシアニジン
  アントシアニン
  イソフラボン
   (参考)
  米国のフラボノイドデータベース

 リストリグナンの種類と分布
  プラントリグナン
   リグナン、ネオリグナン、オキシネオリグナン、
  マンマリアンリグナン
   エンテロジオール、エンテロラクトン

 リストスチルベノイドの種類と分布
  レスベラトロール、ピノシルビン、ハイドランジェノール

 リストフェニルプロパノイドの種類と分布

カロテノイド

 カロテノイドは、ニンジンやカボチャあるいはマリゴールドの花弁の黄色色素で、炭素数5個の イソプレン8個から生合成された成分で、炭素数40個からなる構造が基本骨格となっています。 この内、酸素原子を含まないものをカロテン、含むものをキサントフィルといい、これまでに構造 が決定された約750個のカロテノイドの9割以上がキサントフィルです。
 カロテノイドは水に溶解せず油に溶解する脂溶性成分で、ポリフェノールど同様に全ての化合 物が抗酸化性を示すことなどから機能性成分として注目されています。
 なお、β-カロテンはビタミンAの前駆体としての重要な役割を担っていますが、この他α-カロテ ンとβ-クリプトキサンチンもβ-カロテンの半分の効力を持つプロビタミンAです。

 リストカロテノイドの種類と分布
  米国のカロテノイドデータベース

イソチオシアネート

 イソチオシアナートともいいます。ダイコンやキャベツ、ブロッコリーなどブラシ科植物に存在する グルコシノレートと呼ばれる化合物が、生体組織の破壊などによって自身のミロシナーゼという酵 素によって分解されて生じる成分の総称です。ダイコンやワサビ、辛子の辛味成分がその代表的 なものです。これを食べると腸管や肝臓などの組織の解毒酵素が活性化されることから、発がん 物質などの害作用を緩和する食品成分として注目されています。

 リストイソチオシアネートの種類と分布
  網羅的な総説:Phytochemistry. 56(1),5-51(2001)

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