スケーティングバクテリア仮説から導かれる予想

スケーティングバクテリア仮説と抵抗力理論によって計算された細菌の遊泳速度が、実験結果と同様に、粘度に対してピークを持ちました。従来理論からはけっして導かれることのなかった結果です。

遊泳速度(実験値、従来理論による計算値、スケーティングバクテリア仮説による計算値)。


従来理論による予測では遊泳速度は粘度に対して単調減少するが、スケーティングバクテリア仮説による予測はピークを再現できた。
べん毛回転数(従来理論による計算値、スケーティングバクテリア仮説による計算値)。


べん毛回転数に関しては、従来理論もスケーティングバクテリア仮説も、粘度に対して単調減少する挙動を予想した。


遊泳速度とべん毛回転数の比(v-f ratio)は、べん毛が1回転する間に細胞が進む距離を表すパラメーターです。最大値はべん毛らせん1ピッチの長さになり、べん毛推進システムの効率と言ってもよいと思います。v-f ratioが、従来理論では粘度によらず一定値ですが、スケーティングバクテリア仮説では粘度とともに増加すると予想されました。

遊泳速度とべん毛回転数の比(v-f ratio)(従来理論による計算値、スケーティングバクテリア仮説による計算値)。


従来理論では粘度によらず一定値ですが、スケーティングバクテリア仮説では粘度とともに増加した。スケーティングバクテリア仮説によれば、粘度の増加に伴い、べん毛回転数が減少するが、それ以上にv-f ratioが増加する範囲では遊泳速度が上昇すると、説明できる。