茶生葉中のγ-アミノ酪酸(GABA)含量の新しい増加手法


[要約]

 茶生葉の嫌気処理と好気処理を繰り返すことにより茶葉中のγ-アミノ酪酸(GABA)含量は大幅に増加する。この葉を用いて製造したギャバロン茶は、従来の嫌気処理のみで製造した茶と比較して、GABA含量は格段に高い。


[背景・ねらい]

 嫌気処理した茶葉から製造した茶は、血圧降下作用のあるγ-アミノ酪酸(GABA)を多く含み、ギャバロン茶として市販されているGABAは、嫌気条件下で、グルタミン酸脱炭酸酵素の働きにより、グルタミン酸から生じるため、単に嫌気処理を行うだけでは、グルタミン酸がすべて変化した時点で、GABAの増加は頭打ちとなる。そこで、嫌気処理後に好気処理を行うことで、グルタミン酸の回復をはかり、続く嫌気処理によってGABAのさらなる増加を試みる。

[成果の内容・特徴] 

  1. 通常の嫌気処理では、GABA含量は嫌気処理後3時間までに顕著に増加し、あとの増加率は低い。嫌気処理3時間後に好気処理に転じると、グルタミン酸の急激な回復が起こる。そこで再び嫌気処理に戻して3時間行うと、増加していたグルタミン酸はGABAに変化し、GABA増加量は、嫌気処理のみの方法と比較して、1.5倍強になる(図1)。
  2. 好気処理の時間は、GABAの減少が少ない1時間程度が適当である(図1)。  
  3. 嫌気処理で増加するアラニンは好気条件下における減少が著しく、嫌気処理のみの場合よりも増えることはない。アスパラギン酸は嫌気処理で減少するが好気条件下での回復は僅少である(図1)。  
  4. 嫌気処理と好気処理を複数回繰り返していくと、好気処理のたびにグルタミン酸含量は回復を示し、その後の嫌気処理でGABAは増加し続ける(図2)。  
  5. 嫌気処理と好気処理を繰り返した茶葉を用いて製茶すると、GABA含量が格段に高い茶となるが、葉よりも茎にGABA含量は高い(表1)。よってこの茶は茎を除かずに仕上げを行う。

[成果の活用面・留意点]

  1.  GABAを高含有するギャバロン茶の新製法であり、一番茶以外でも充分活用できる。  
  2.  茶葉の変質を防ぐため、10℃程度の冷蔵庫内での処理が推奨される。室温での処理は気温に応じて好気処理を1、2回はさむ程度にとどめる。

[その他]