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実験動物の血漿総コレステロールは実験動物を用いた機能性成分の栄養 試験においては、重要な生化学的指標の一つである。本項では、代表的な 実験動物の一つであるマウスを取り上げ、栄養試験の終了したマウスの下 大動脈から採血し、血漿総コレステロール測定するまでを述べることにする。 準備 【器具】 1. シェーカーのついたウォーターバス 2. オートピペット 3. 試験管 4. 解剖台 5. ガンマ線滅菌済みシリンジ付き注射器 6. パラフィルム 7. 遠心分離器 8. パスツールピペット 9. ガラス製遠沈管 10. 解剖用ハサミ 11. 解剖用ピンセット 【試薬】 1. ジエチルエーテル 2. ヘパリン 3. コレステロールCテストワコー 操作の実際 (解剖・採血) あらかじめ1ml用注射器にヘパリンを少量注入し、注射器内筒をヘパ リンでぬらしておく。広口のガラス容器にジエチルエーテルを適量 しみこませた脱脂綿を入れ、マウスを入れる。 麻酔期に入ったことを確認した後、腹部の皮膚を剥離し、腹壁を切 開することで開腹する。 消化管などを分けて、腹大動脈に注射針を刺入し、ゆっくりと吸引する。 (総コレステロール測定) 約0.5ml程度採血後、あらかじめヘパリンを1滴入れたガラス製遠沈 管に溶血しないようにゆっくりと血液を移し入れ、バラフィムで蓋 をして、30分間静置した後、3000rpm、10分間遠心分離し、上清の血 漿をパスツールピペットで別の試験管に入れる。この血漿20μlをオ ートピペットで試験管に入れ、次いで3.0mlの酵素液(コレステロー ルCテストワコー:コレステロールエステラーゼ、コレステロールオ キシダーゼ、ペルオキシダーゼ、4-アミノアンチピリン含有)を加え、 37℃、15分間軽く振とうしながらインキュベートした後、505nmの吸 光度を測定する。 データの取りまとめ コレステロールCテストワコー中のウシ血清由来の標準血清を用いて検 量線を作成し、この検量線を用いて、測定したマウス血漿総コレステロ ール値を算出する。 参考文献 1) 田中修、八田稔久:新生化学実験講座19、動物実験法、日本化学会編 (東京化学同人)pp.183-189 (1991) 2) 藤田昌英:生物化学実験のてびき4.動物・組織実験法、泉美春、 中川八郎、三輪谷俊夫編(化学同人) pp.48-49 (1987) 3) 金井泉:臨床化学検査提要、金井正光編(金原出版株式会社) p453-458 (1983) (田村基)
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