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記憶学習能などの脳機能の評価法の種類は多い。ヒトでは知能指数(IQ) や痴呆度テスト(長谷川式等)が用いられており、実験動物では迷路法、明 度識別法、電気ショック法などが用いられている。ここでは、実験室で行 える比較的簡単な迷路法について述べる。 準備 【装置】 1. マウス用迷路板 (1)縦40cm×横50cm×高さ6cm程度 (2)袋小路を数ヶ所 (3)透明なアクリル板を上にのせる (4)出口に水飲みに入った水を置く 2. シャッタカメラ(位置センサー) (1)迷路板上1.5m程度に設置 (2)取り付け用アーム (3)(株)エムテック製等 3. 画像処理装置 (1)マウスの行動追跡用ソフト内蔵 (2)(株)エムテック製等 4. パーソナルコンピュータ 5. プリンター 【動物】 1. マウス (1) ICR系等 (2) 一般には雄性 (3) 1 群6匹以上 2. 24時間絶水 3. 気温24℃、湿度60%程度の室で飼育 4. 室の照明は12時間ごとの明暗 操作の実際 1. 24時間絶水したマウスを袋小路のない迷路の入口に入れ、出口にある 水を捜させる。 2. 水を飲んだらその日は終わりとする。 3. 4日後に1と2を行う。 4. 1〜3を3〜4回繰り返す。 5. 1〜4で、すべてのマウスが寄り道をしないで素早く出口に向かうよ うになった(条件付け終了)後、本実験を行う。 6. 24時間絶水したマウスを袋小路が数ケ所ある迷路に入れ、出口にあ る水を捜させる。 7. 6の様子をシャッタカメラ、画像処理装置、パーソナルコンピュータ を用いて記録する。 8. 水を飲んだらその日は終わりとする。 9. 4日後に6と7を行う。 10. 6〜9を3〜4回繰り返す。 データの取りまとめ 1. 全データを処理し、マウスの軌跡をプリンターに打ち出す。 2. 入口から出口に到着するまでの時間を読み取る。 3. 入口から出口に到着するまでに、袋小路に迷い込んだ回数を軌跡の 図から数える。 4. 2と3の各群での平均値と標準偏差を出し、各群間での差の検定を行う。 参考文献 1) 小林哲幸:脂質栄養学シリーズ1脳の働きと脂質、日本脂質栄養学会 監修、奥山治美、 安藤進編(学会出版センター) PP.7-26 (1997) 2) Suzuki, H., Park, S.J., Tamura, M. and Ando, S.:Mech. Age. Develop., 101, 119-128 (1998) (鈴木平光)
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