11 肉用鶏の肝臓におけるAAアミロイドーシス 〔安藤正視(高知県)〕

 チャンキー種,性別不明,約60日齢,斃死例.2010年10月下旬に40羽導入した初生雛のうち,2羽が11月下旬頃からやや活力減退していたが,12月21日にともに斃死したため翌日病性鑑定を実施した.

 剖検では,検査した2羽のうち,本症例1羽の肝臓が腫大していた他は著変は認められなかった.

 組織学的には,肝臓においてディッセ腔に硝子様無定形な好酸性物質がび漫性に沈着し,肝細胞の多くは萎縮し空胞変性が認められた(図11).一部の中心静脈の周囲には偽好酸球を主体とする炎症細胞が浸潤していた.肝臓の好酸性物質は,コンゴー赤(CR)染色にて橙赤色を示し,偏光観察で緑色屈折光を確認した.またチオフラビンT染色後,蛍光顕微鏡で緑色蛍光を確認した.過マンガン酸カリウム処理後にはCRの染色性が消失し,緑色偏光も認められなかった.抗AAアミロイド抗体(協和メデックス(株))を用いた免疫組織化学的染色では,好酸性物質の沈着部位に一致して陽性反応が観察されたが,その他の臓器には確認されなかった.大脳及び小脳では,中心に菌体を伴う微小膿瘍がそれぞれ1個認められた.菌体はグラム染色陽性で,抗 Staphylococcus aureus 抗体(CHEMICON)において陽性反応を示した.その他臓器に著変は認められなかった.

 病原検索では,簡易キットによる鳥インフルエンザの検査結果は陰性で,その他の検査は実施されなかった.

 以上の結果から,本症例は大脳及び小脳に S. aureus による微小膿瘍が認められた肉用鶏のAAアミロイドーシスと診断された.採卵鶏でのアミロイドーシスの報告は多いが,肉用鶏でのアミロイドーシスはまれな症例であると考えられた.

肉用鶏の肝臓におけるAAアミロイドーシス