12 豚の Salmonella Typhimuriumによる壊死性盲腸炎 〔大泉卓也(長野県)〕

 LWD種,去勢,約60日齢,鑑定殺.約150頭を飼養する肥育農場で,2011年2月下旬から導入後1〜2週間経過した豚に黄色水様の下痢を呈する個体が増加し約20頭が斃死したため,下痢を呈した豚3頭について病性鑑定を実施した.

 剖検では,盲腸粘膜に潰瘍がみられ,肝臓は腫大し暗赤色を呈していた.

 組織学的には,盲腸粘膜の広範な壊死,腸陰窩の萎縮あるいは消失がみられ(図12),壊死部には多数のグラム陰性短桿菌が認められた.壊死巣周囲では多数の好中球が帯状に観察された.粘膜固有層から粘膜下組織においてマクロファージ及びリンパ球が重度に浸潤し,一部の小血管内に線維素血栓が認められた.リンパ小節は壊死し,マクロファージ及び好中球,まれに多核巨細胞の浸潤が認められた.肝臓では好中球,マクロファージ及びリンパ球浸潤を伴う巣状壊死が散見された.抗サルモネラO4群家兎血清(デンカ生研(株))を用いた免疫組織化学染色では,盲腸粘膜の壊死部,粘膜固有層のマクロファージの細胞質内に陽性反応が認められた.抗サルモネラO7群家兎血清(デンカ生研(株))では陰性であった.

 病原検索では空腸内容物から Salmonella Typhimuriumが分離された.主要臓器からの病原細菌の分離は陰性であった.

 以上の結果から,本症例は豚サルモネラ症(腸炎型)と診断され,典型例と考えられた.

豚のSalmonella Typhimuriumによる壊死性盲腸炎