13 豚の Lawsonia intracellularis による増殖性腸炎 〔秋山倫子(山梨県)〕

 交雑種,雌,156日齢,斃死例.繁殖豚50頭,肥育・育成豚500頭を飼養する農場において,2011年4月,繁殖候補豚として20頭程度で群飼していた豚1頭が突然死した.目立った外傷はなかったが,臀部に血液様物が付着していた.同房豚に異常はみられなかったが,5日前に隣房において,体重が減少し血様便を排泄していた豚1頭を隔離していた.

 剖検では,空回腸で血様内容物,盲結腸ではタール様内容物が貯留していた.その他の臓器に著変は認められなかった.

 組織学的に,空回腸では陰窩上皮の過形成(図13A),陰窩の拡張が観察され,陰窩腔内には細胞退廃物が貯留していた.過形成した陰窩上皮は弱好塩基性を示し,丈が高く,重層化した細胞もみられ,杯細胞の減数・消失が顕著であった.粘膜固有層及び粘膜下組織では,単核球の浸潤がみられた.Warthin-Starry染色で,過形成した上皮細胞質内に湾曲した菌体が多数確認された(図13B).抗 Lawsonia intracellularis 抗体(動衛研東北支所)を用いた免疫組織化学的染色では,十二指腸から結腸すべてにおいて陽性反応が観察された.

 病原検索では,病原細菌は分離されず,PCR検査では空腸,回腸及び盲腸内容物より L. intracellularis 特異遺伝子が検出された.ウイルス学的検査では豚コレラFA陰性,PCR検査で豚繁殖・呼吸器症候群ウイルス陰性,豚サーコウイルス2型陰性であった.

 以上の結果から,本症例は豚増殖性腸炎と診断され,典型例と考えられた.

豚のLawsonia intracellularisによる増殖性腸炎