19 牛の Mannheimia haemolytica 1型による線維素性化膿性気管支胸膜肺炎 〔杉本みのり(滋賀県)〕

 黒毛和種,雌,11カ月齢,斃死例.黒毛和種約200頭,交雑種約200頭を飼養する繁殖・肥育農場で,生後約11カ月齢の牛が平成23年2月2日夕方突然斃死した.当該牛に治療歴はなく,約3カ月前に他県より導入された.

 剖検では,鼻腔からの血様泡沫流出と下顎の手拳大浮腫がみられた.眼球陥没がみられたが,栄養状態は良好であった.胸腔には黄色透明の胸水が貯留し,肺は全体に水腫を示し,右前葉と中葉は肝変化し,肺胸膜には線維素の析出が顕著にみられた.

 組織学的に,肺では顕著な好中球浸潤,線維素析出,出血を伴った壊死病変が多発巣状から癒合性に認められた.病巣内には細菌塊が散見され,マクロファージ及び多核巨細胞浸潤も伴っていた.また燕麦様細胞浸潤が病巣を取り囲むように巣状から帯状に顕著に認められた(図19).小葉間結合織及び肺胸膜には好中球浸潤を伴った水腫と線維素析出が顕著に認められた(図19).免疫組織化学的染色の結果(使用一次抗体はいずれも動衛研), Mannheimia haemolytica 1型抗原が病巣の広範囲に認められ,特に壊死の強い部位で顕著であった.また Pasteurella multocida F型抗原も病巣の一部に認められた.

 細菌学的検査では,肺より M. haemolytica 1型, P. multocida が分離された.

 細菌学的検査,免疫組織化学的染色により, P. multocida F型の感染も確認されたが,組織所見及び免疫組織化学的染色の結果から,本症例の主病変は M. haemolytica 1型によると考えられた.以上の成績から本症例は,牛のマンヘミア症(亜急性)と診断された.

牛のMannheimia haemolytica 1型による線維素性化膿性気管支胸膜肺炎