28 牛の牛RSウイルスによる好酸性細胞質内封入体を伴う合胞体形成を特徴とする気管支間質性肺炎 〔瀧澤光華(群馬県)〕

 ホルスタイン種,雌,105日齢,斃死例(死後約2時間で剖検).2011年2月26日に当該子牛が呼吸器症状を呈した.27日に獣医師の治療が行われたが,28日に起立不能となり斃死したため,病性鑑定に供された.

 剖検では,肺は間質性気腫による退縮不全が認められた.割面はモザイク状で暗赤色肝変化を呈した.気管には泡沫状物が含まれていた.

 組織学的に,肺に充うっ血がみられた.細気管支と肺胞内には肺胞マクロファージや変性好中球が認められた.細気管支の粘膜上皮細胞には変性,壊死や脱落が認められた.肺胞壁は軽度水腫性でU型肺胞上皮細胞の増生により肥厚していた(図28).細気管支内及び肺胞では好酸性細胞質内封入体を伴う合胞体が認められた(図28).抗牛RSウイルス(BRSV)マウス血清(動衛研)を用いた免疫組織化学的染色では,合胞体,肺胞U型上皮細胞及び肺胞マクロファージ,細気管支内の細胞退廃物に陽性反応が認められた.その他,脾臓にはリンパ球減少がみられた.

 病原検索では,気管スワブ及び肺からパラインフルエンザウイルス3型(PIV-3)が分離された.肺の凍結切片を用いた蛍光抗体法ではBRSVとPIV-3について陽性反応が認められた.死亡前日に採材した鼻腔スワブのPCR検査でBRSV特異遺伝子が検出された.主要臓器から細菌は分離されなかった.

 以上の結果から,本症例は牛RSウイルス病及び牛パラインフルエンザと診断された.

牛の牛RSウイルスによる好酸性細胞質内封入体を伴う合胞体形成を特徴とする気管支間質性肺炎