3 鶏の Mycoplasma gallisepticum による粘膜肥厚を特徴とする非化膿性気管炎 〔石田 剛(福岡県)〕

 チャンキー種,性別不明,44日齢,鑑定殺.約71,000羽を飼養する肉用鶏農場の1鶏舎において,2011年3月上旬に死廃数が増加し,鶏群に鼻汁漏出,異常呼吸音,嗜眠が認められたため,病性鑑定を実施した.

 剖検では,胸及び腹気嚢に黄色混濁やチーズ様物付着(5/10羽),小腸や盲腸に粘膜肥厚や点状出血(3/10羽)が認められた.

 組織学的に,気管において粘膜固有層に濾胞形成を伴うリンパ球,形質細胞の重度浸潤が認められた(図3).また,粘液腺や粘膜上皮細胞は増生,腫大し,粘膜表面では線毛の消失や軽度の粘液滲出が認められた.抗 Mycoplasma gallisepticum (MG)家兎血清(動衛研)を用いた免疫組織化学的染色では,気管病変部の粘膜上皮細胞上部に多数の陽性反応が確認された.肺や気嚢ではリンパ濾胞形成を伴った単核細胞や偽好酸球の中等度から重度の浸潤,肝臓ではグリソン鞘に単核細胞の軽度浸潤,十二指腸では粘膜上皮細胞にコクシジウムの中等度寄生が認められた.

 病原検索では,気管及び気嚢チーズ様物からMGが分離され,他の病原細菌は分離されなかった.ウイルス学的検査では,気管からワクチン株と相同性が100%一致する伝染性気管支炎ウイルスが分離された.鳥インフルエンザ及びニューカッスル病ウイルスは分離陰性であった.

 以上から本症例は,鶏マイコプラズマ病と診断され,気管におけるリンパ球や形質細胞浸潤による著しい粘膜の肥厚が特徴的であった.

鶏のMycoplasma gallisepticumによる粘膜肥厚を特徴とする非化膿性気管炎