32 アカバネ病子牛にみられた矮小筋症 〔高橋幸治(宮城県)〕

 ホルスタイン種,3日齢,雌,鑑定殺.獣医師より2010年12月3日出生の子牛が起立不能でアカバネ病を疑うとの通報があったため立入検査を実施した.本症例は,哺乳,体温ともに正常.前肢は伸張状態であったが,右側前肢は自力で動かせた.左側前肢は右側前肢よりやや太く,左上腕部には浮腫を認めた.後肢は屈曲した状態で不動,左後肢球節がナックル状に湾曲し,介助するも起立不能であった.頭部は持ち上げることが可能であった.背線は腰部から左側に軽度に捻れを認めた.初乳は摂取済みで,母牛は2産,アカバネウイルスワクチン未接種(農場飼養牛全頭)であった.

 剖検では,後肢及び左側前肢の皮下に膠様浸潤を広範囲に認め,肋軟骨は変形し波状を呈していた.左側前肢や後肢,腰部で境界不明瞭な白色化及び水腫を広範囲に認めた.腰椎から骨盤にかけて軽度な左側捻転を認めた.

 組織学的には,骨格筋(右後肢)では,多くの筋線維束は小径矮小筋線維で構成され,脂肪組織及び線維性結合組織により置換されている部分も多く認めた(図32).同様な所見は左後肢や右前肢でも認めた.頸部や左前肢では,一部の筋線維束に大小不同な筋線維を認めた.その他の組織所見として,脊髄腹角において神経細胞の減数を認めた.

 病原検索では,遺伝子検査で当該子牛の延髄及び脊髄からアカバネウイルス遺伝子を検出し,血清学的検査においてアカバネウイルス抗体(初乳摂取済み)が認められた.また,当該牛の母牛(16倍)及び同居牛(32〜128倍)でもアカバネウイルス抗体を保有しており,農場におけるアカバネウイルス感染を確認した.血清生化学的検査において,CK値(28U/l)とγ-GTP(600U/l)の上昇を認めた.

 以上の所見より本症例は,アカバネ病と診断された.

アカバネ病子牛にみられた矮小筋症