34 牛の基底膜の肥厚を特徴とする粘液カタル性鼻炎 〔関口真樹(千葉県)〕

 ホルスタイン種,雌,約5歳,鑑定殺.成牛34頭を飼養する酪農家で,2011年3月8日,搾乳牛1頭が発熱して,鼻汁を排出し,流涎,流涙を示した.治療したが効果がなかったため,3月23日に病性鑑定を実施した.

 剖検では,鼻腔の前方に透明鼻汁が貯留していた.鼻粘膜は充血し,鼻中隔と鼻腔腹底は著しく肥厚していた.眼球は突出し,瞬膜が露出していた.割面では,角膜の肥厚,眼房水の増量,毛様体の腫大がみられた.

 組織学的に,鼻腔粘膜(鼻甲介,鼻中隔,鼻腔腹底)では,上皮において過形成,び爛,杯細胞の増数と過分泌がみられ(図34A),固有層において表層の高度の水腫,中等度のリンパ球,軽度の肥満細胞浸潤がみられた.また,基底膜は硝子様に重度に肥厚し(図34A),PAS反応で淡赤染,PAM染色で淡黒染,マッソン・トリクローム染色で青染した.同部位は抗イムノグロブリンL鎖λ血清(DAKO)とFITC標識抗牛IgG血清(CAPPEL)を用いた免疫組織化学的染色で陽性反応を示した.結膜では,杯細胞が高度に増数し,固有層では重度のリンパ球,軽度の肥満細胞浸潤がみられた.左右眼球では,化膿性毛様体炎がみられ,角膜固有層にも化膿性炎がみられた.

 病原検索では,鼻汁から Pasteurella multocida が分離された.病性鑑定時の血液検査では,白血球数(16,900/μl)と好酸球数(百分比11.5%)の増加がみられた.

 本症例は牛のアレルギー性鼻結膜炎が疑われた.基底膜の肥厚は,免疫グロブリンの沈着あるいは血漿成分の蓄積に起因すると思われた.

牛の基底膜の肥厚を特徴とする粘液カタル性鼻炎