37 牛の Histophilus somni による心筋梗塞,化膿性心筋炎 〔中村理樹(熊本県)〕

 黒毛和種,雌,11カ月齢,斃死例.育成子牛22頭,肥育牛200頭を飼養する肉用牛育成肥育農家で,2010年4月11日生まれの牛が,2011年1月17日導入後,2月17日から起立不能となった.治療により起立可能となったが,3月14日に斃死したため病性鑑定された.

 剖検時,寛結節部表皮には褥瘡が認められた.左心室内膜は白色を示し,左心室壁及び中隔に膿瘍様白色塊が散在していた.心外膜は癒着し,肺には肝変化や泡沫性滲出物の充満がみられ,胸膜と癒着し,肝臓は硬化していた.

 組織学的に,左心室壁には多発性に心筋細胞の巣状凝固壊死が認められた.病変部とその周囲には好中球,マクロファージ,線維芽細胞の浸潤がみられ,血管には血栓がみられた(図37).また,グラム陰性細菌塊,心内膜には膠原線維の増生を伴う肥厚が顕著に認められた.抗 Histophilus somni モノクローナル抗体(動衛研)を用いた免疫組織化学的染色では,細菌塊及び炎症細胞内に陽性反応が認められた.肝臓では好中球の浸潤,脾臓にはヘモジデリン沈着と好中球の浸潤,肺には胸膜と小葉間結合織及び肺胞腔内の水腫が認められた.

 病原検索では,主要臓器を用いた細菌学的検査では病原細菌は分離されず,血液検査では白血球数,GOT,LDH,CPKの上昇が認められた.

 本症例は, H. somni による一次的な心筋炎と血管炎が起こり,その結果心筋梗塞が起こったものと考えられた.

牛のHistophilus somniによる心筋梗塞,化膿性心筋炎