40 牛の膀胱の上皮向性γδT細胞性リンパ腫 〔壁谷昌彦(福島県)〕

 ホルスタイン種,雌,29カ月齢,鑑定殺.体表リンパ節の腫大,骨盤腔内の手拳大の腫瘤が触知され,牛白血病が疑われたため,病性鑑定を実施した.

 剖検では,全身のリンパ節の軽度〜中等度腫大,肝臓,脾臓及び腎臓の中等度腫大が認められた.

 組織学的に,膀胱では,粘膜下織から筋層,漿膜組織にかけて異型度の強いリンパ球様細胞が中等度浸潤し,粘膜移行上皮細胞層内へも浸潤していた(図40).腫瘍細胞は大小不同で,核は類円形又は不整形でくびれを持ち,塊状の染色質と1〜数個の核小体を有していた.有糸分裂像が多数認められた.同様の腫瘍細胞は,肝臓,脾臓,腎臓,心臓,肺,リンパ節など全身諸臓器に浸潤していた.膀胱の粘膜固有層,回盲部,腸間膜リンパ節の腫瘍細胞浸潤部に,大型核と豊富なアズール顆粒を有する大型細胞の小集簇が認められた.免疫組織化学的染色では,膀胱,脾臓,回腸リンパ節の腫瘍細胞はCD3(DAKO)陽性,WC1-N3(VMRD)陽性,CD79αcy(DAKO)陰性であった.

 病原検索では,血清を用いた寒天ゲル内沈降反応で牛白血病ウイルス抗体陽性であった.血液検査では,白血球数:38,100/μl,百分比リンパ球:91.5%(うち異型率44%)であり,フローサイトメトリー法で末梢血液白血球中,WC1:60.7%,CD4:2.5%,CD8:5.3%,CD21:4.3%であった.

 以上から,本症例は,散発性牛白血病(γδT細胞性リンパ腫)と診断された.

牛の膀胱の上皮向性γδT細胞性リンパ腫