41 牛の胸骨骨髄における大型芽球様細胞の腫瘍性増殖 〔橋田明彦(岡山県)〕

 ホルスタイン種,雌,4歳3カ月齢,鑑定殺.2010年1月31日初診時39℃前後の発熱と食欲不振があり,左肩甲骨前部,腸骨下及び乳房上部に片拳大の腫瘤物を認めた.直腸検査では,右卵巣前部にテニスボール大の腫瘤物を触知した.抗生剤や強肝剤等による治療の効果はなく,予後不良と診断され,2月22日病性鑑定を実施した.

 剖検では,乳房リンパ節など体表リンパ節の腫大,肺及び腎臓表面の粟粒大から指頭大の白色結節,肝臓の硬結腫脹,肝門付近の膿瘍が認められた.

 組織学的には,胸骨骨髄は大型の芽球様細胞の顕著な増殖巣により置換され(図41),一部に骨髄球,巨核球,赤芽球系細胞が残存していた.増殖細胞は,類円形の大型核と小顆粒状〜微細網状染色質を持ち,核小体は1〜2個又は不明瞭で,細胞質にアズール顆粒や異染性顆粒は検出されず,有糸分裂像が多数認められた.また,まれに赤血球の貪食像が認められた.同様の腫瘍細胞は,腎臓,肺,気管リンパ節,体表リンパ節に浸潤していた.免疫組織化学的染色では,腫瘍細胞は,CD3,CD79α,CD68,リゾチーム,MAC387,ミエロペルオキシダーゼ(以上いずれもDAKO),Von Willebrand因子(invitrogen)がすべて陰性であった.

 病原検索では,血液,糞便,乳汁及び尿のPCR検査で牛白血病ウイルス遺伝子は検出されなかったが,ELISA値は2.17を示した.

 以上から,本症例は,未分化な芽球の増殖による前骨髄球性の白血病と考えられた.

牛の胸骨骨髄における大型芽球様細胞の腫瘍性増殖