42 山羊の肺にみられた Aspergillus 属真菌の菌糸を伴う多発巣状の化膿性肉芽腫性肺炎 〔藤野晃司(岐阜県)〕

 山羊,雌,17日齢,鑑定殺.2011年3月21日生まれの子山羊が4月3日頃から削痩及び元気消失を呈した.人工哺乳を試みるも困難であったため,予後不良とされ4月7日病性鑑定に供された.

 剖検では,肺に結節性病巣が散見され,割面の中心部は乾酪化,周囲は硬化していた.その他,肝臓,腎臓,心臓,第一胃,空腸及び膀胱において,褪色あるいは赤色の病巣が観察された.

 組織学的には,肺で菌糸を伴う多発性の凝固壊死巣及び血栓が観察された(図42A).菌糸はPAS反応及びグロコット染色陽性で,幅は均一,隔壁を有し,Y字分岐を呈していたことから, Aspergillus 属真菌の菌糸と同定された(図42B).その他,肝臓,脾臓,腎臓及び心臓の実質内,第一胃,第四胃及び空腸の粘膜下組織において, Aspergillus 菌糸を伴う化膿性病巣が多発性に観察され,菌糸を含む血栓がしばしば認められた.

 以上から,本症例は山羊のアスペルギルス症と診断された.肺を含め,多臓器で Aspergillus 属真菌の血管侵襲が観察され,消化管では漿膜側の血管を中心に病変が認められたことから,菌糸が肺病変から血行性に全身へ伝播したものと推察された.

山羊の肺にみられたAspergillus属真菌の菌糸を伴う多発巣状の化膿性肉芽腫性肺炎