9 肉用鶏の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)による肉冠と肉垂における充うっ血及び血管炎を伴う出血性壊死性皮膚炎 〔片山貴志(宮崎県)〕

 肉用鶏,チャンキー種,75日齢,鑑定殺.33,000羽を飼養する肉用鶏農場において,管理獣医師から斃死羽数増加及びインフルエンザ簡易検査陽性の通報を受け,同日生存鶏5羽及び斃死鶏5羽の病性鑑定を実施した.

 剖検では,10羽中8羽において,肉冠が重度に暗赤色を呈していた.同様のチアノーゼは肉垂においても確認され,水腫を伴っていた.さらに下顎皮下における重度の水腫や,喉頭及び気管粘膜の充出血も認められた.

 組織学的に,肉冠では,真皮浅層に重度のび漫性充うっ血及び出血が認められた(図9).同部の毛細血管は変性,崩壊し,偽好酸球を主体とした炎症細胞が多数浸潤していた.血管の病変は真皮深層から皮下織まで及び,血栓形成や水腫も散見された.また,一部の表皮に壊死,水腫及び水疱形成が認められた.肉垂では,肉冠とほぼ同様の変化が認められた.その他,大脳,視葉,小脳及び延髄において,グリア細胞の増殖を伴った巣状の神経細胞壊死が認められた.

 ウイルス検査では,10羽中8羽の気管もしくはクロアカスワブからA型インフルエンザウイルスが分離された.分離ウイルスは,動物衛生研究所において高病原性のH5N1亜型と同定され,本症例はH5N1亜型のA型インフルエンザウイルスによる高病原性鳥インフルエンザと診断された.

肉用鶏の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)による肉冠と肉垂における充うっ血及び血管炎を伴う出血性壊死性皮膚炎