booo.png

10 子牛の銅中毒による線維化を伴う肝細胞のび漫性空胞変性・壊死 〔伊藤 広記(福岡県)〕

 黒毛和種,雄,4カ月齢,斃死例(死後6時間以上).肉用繁殖和牛60頭を飼養する農場で,2015年6月22日に子牛1頭が発熱と黄疸を呈し,翌23日に斃死した.

 剖検では,皮下織,腹膜,及び肝臓の黄疸,腎臓の暗赤色化及び膀胱内の血色素尿が観察された.

 組織学的に,肝臓では肝細胞の空胞変性及び壊死や索状配列の不整がび漫性に観察された(図10).小葉中心静脈の周囲やグリソン鞘には,軽度の線維増生が認められた.グリソン鞘では,淡褐色色素を多量に含有したマクロファージの浸潤と胆管増生もみられた.淡褐色色素の多くはシュモール反応・PAS反応陽性,ベルリン青染色陰性であったことから,リポフスチンの組織化学的性状と一致していた.ロダニン染色では,肝細胞やクッパー細胞及びグリソン鞘の浸潤マクロファージ内に陽性反応が観察された.腎臓では,尿細管上皮内にヘモジデリン沈着及び好酸性顆粒が認められ,脾臓ではうっ血とヘモジデリン沈着が観察された.

 病原検査では,病原細菌は分離されなかった.また,原子吸光度法(動衛研に依頼)により,肝臓,腎臓及び血清からそれぞれ589μg/g,90μg/g,406μg/dlと中毒量の銅が検出された.

 以上から,本症例は子牛の銅中毒と診断された.同農場で本症例の45日前に3カ月齢で斃死した症例と比較し,線維化が進行していたことから,本症例は比較的経過が長かったものと考えられた.

漫性
空胞変性・壊死