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12 キョウチクトウ中毒の牛の腎臓にみられた出血性梗塞 〔瀧 麻香(兵庫県)〕

 黒毛和種,雌,30カ月齢,斃死例(死後約1時間).黒毛和種60頭を飼養する繁殖・肥育一貫農場で,2015年8月5日,複数頭の成牛が食欲減退を示した.本症例 は8月6日に斃死し,病性鑑定が行われた.当該農場で給与していた野草中にキョウチクトウが認められた.

 剖検では,腎臓被膜面に,周囲に褪色巣を伴った出血巣が複数認められ,割面で出血巣は皮質に限局していた.その他,心外膜の点状出血,肺の暗赤色肝変化巣,空腸漿膜と粘膜面の充・出血及び粘膜肥厚が認められた.

 組織学的に,腎臓では,肉眼的に出血巣が認められた部分に一致して,充・出血を伴った糸球体及び尿細管の壊死,小血管壁の破綻及び一部で炎症細胞の浸潤が認められた(図12A,B).出血部周囲では,皮質を中心に髄質にかけて近位尿細管の壊死が帯状に認められ,間質にはリンパ球の浸潤もみられた.心臓では,心筋線維束間の結合組織が水腫状を呈し,空胞変性を示す心筋細胞が散見された.空腸では,粘膜固有層と粘膜下組織で充・出血がみられ,粘膜下組織は水腫状を呈していた.

 細菌学的検査では,主要臓器から病原細菌は分離されなかった.LC-MS/MS法により,血清中のオレアンドリン濃度を測定したところ,2.99ng/ml であった.

 以上から,本症例は牛のキョウチクトウ中毒と診断された.腎臓の病変は,キョウチクトウ中毒による心不全に伴う循環障害により形成されたと考えられた.

出血性梗塞