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13 牛の腎皮質における石灰沈着と間質の線維化を伴う急性尿細管壊死 〔丹羽 竜祐(石川県)〕

 黒毛和種,雄,3カ月齢,鑑定殺.2015年5月25日, 2カ月齢の子牛に腹部の膨満,両手根と両足根関節の腫 脹がみられた.経過観察中の6月24日に起立不能となっ たため,鑑定殺を実施した.

 剖検では,第一胃の一部と腹壁の癒着,腹水の貯留, 腎皮質の赤黄色〜黄白色を呈する褪色,側脳室の拡張, 両手根及び両足根関節液の増量が認められた.

 組織学的に,腎臓では皮質でび漫性に尿細管上皮の壊 死及び石灰化が認められた(図13).壊死に陥った尿細 管の基底膜は保持されていた.間質の広範な線維化,リ ンパ球と形質細胞の軽度浸潤,おもに髄質における尿円 柱形成が認められた.そのほかに,側脳室の拡張と上衣 細胞の扁平化,化膿性気管支肺炎が認められた.

 細菌学的検査では,諸臓器から細菌は分離されなかっ た.ウイルス学的検査では,諸臓器を用いたPCRで, 牛ウイルス性下痢ウイルスは陰性であった.血液生化学 的検査では,TP:4.2g/dl,Alb:1.9g/dl,BUN: 45.5mg/dl,CRE:2.4mg/dl,GOT:228U/l, γGTP:52U/l,TCHO:35mg/dl,Glu:23mg/dl, Ca:6.1mg/dl,IP:8.9mg/dl,Mg:1.4mg/dl であっ た.

 本症例は中毒性の急性尿細管壊死が疑われたが,アミ ノグリコシド系抗菌薬等の投与歴がなく,毒性物質の関与も不明のため,原因不明の腎不全と診断された.

急性尿細管壊死